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自分の盲点を認識する

 たとえば、私たちは平等性にコミットすることにより、フォーチュンの働きがいのある企業ランキングで1位に、ピープル誌の「配慮のある企業」ランキングでも2年連続1位となった。しかも、それは国内で最も優秀な人材を集める力に寄与している。

 多くの競合他社が活用し損ねている膨大な数の女性人材については、とりわけ顕著だ。たとえばスティーブの説明によると、銀行担当チームの女性比率が20%に達すると、女性営業員が急増したという。「新しいネットワークとつながり、女性がセールスフォースに入社したがるようになった」のだ。

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 このすべてが指し示しているのは、インクルージョンが一枚岩ではないということだ。平等を求める戦いは、多様な側面を持った多数の戦いの集合体で、それぞれに独自の課題があり、独自の解決策が求められる。ある問題に立ち向かうのに有効なレバーが、別の問題を扱うときには役立たないこともある。これを舵取りするには、社内の全員が自分の盲点を認識でき、新たな解決策を試すだけの柔軟性を備えていなくてはならない。

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まだ決着はついていない

 2018年初頭、オフィス内で数人の女性、そして男性も2~3人が、男性優位のシリコンバレーの実態を描いたエミリー・チャンの著書『ブロトピア(Brotopia)』を読んでいるのに気づいた(ブロトピアは、ブラザーとユートピアを掛け合わせた造語。男性優位社会を意味する)。

 ニューヨーク・タイムズの書評には「シリコンバレーが栄えある友愛会の共同住宅になった経緯を綿密に調査している」とあり、私としては、セクハラが社内恋愛やジェットバスなどで楽しむホットタブ・パーティーとはレベルの違う問題であることを理解するのに役立った。これは深刻な症状だが、はるかに大きな体系的な問題の兆候と言える。つまり、それを積極的に容認する組織文化があるということだ。

 シンディとレイラが2015年3月に私の自宅オフィスを訪ねて以降、企業文化が大小さまざまな形で、いかに不平等を引き起こしうるかについて、私は多くのことを学んだ。中でも重要なのが「無意識の偏見」だ。そのせいで、たとえ善意からでも、残念ながら墓穴を掘ることがある。私も時々やらかしてしまう。