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「引きこもりのほとんどは発達障害」って本当? 引きこもり支援のプロが語る”ボーダーの生きづらさ”

『コンビニには通える引きこもりたち』より#2

2020/09/15
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決定的な解決策などない

 引きこもりになるきっかけは、いじめや、人間関係のトラブルや失敗、病気など、様々なものがあります。それどころか、「家を出る理由もなかったから」「何となく」という人すらいます。外出できる人できない人、自室からもほぼ出ない人。家族との会話がある人とない人。年齢や年数も様々な上、病気や発達障害のある人もいます。この中でどのタイプが特に多いということはなく、どのタイプも比較的まんべんなくいます。引きこもりを一つのパターンにまとめることはできないのです。

©iStock.com

 それはすなわち、引きこもり支援の難しさでもあります。到底親だけでは対応し切れず、支援者も単独では難しく、複数の機関で協力して関わらなければ解決に至らないケースも、たくさんあるのです。医療と福祉と自立支援。引きこもり支援と就労支援。公的機関と民間団体。どの支援をどう使うのか、1箇所にするのか複数使うのか。これは次の章で触れていきたいと思いますが、実は今はたくさんの選択肢があります。引きこもりは多様化してはいますが、支援も多様化しています。適した支援をうまく使えば、かなりの数の引きこもりは解決するのではないかと思います。

 ただし、マッチングはあまりうまくいっている印象がありません。現状では引きこもる当人やその家族が支援を選ぶ形が主流です。私たちニュースタート事務局を含め支援側は、支援を求めて来る人を待つ立場です。

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 ですが当人や家族が引きこもりの多様性を把握し、その中で自分たちがどこに位置するかを正しく判断し、適した支援を選ぶのは至難の業でしょう。このミスマッチゆえに、引きこもりはなかなか解決しないのです。

コンビニは通える引きこもりたち (新潮新書)

久世 芽亜里

新潮社

2020年9月17日 発売

「引きこもりのほとんどは発達障害」って本当? 引きこもり支援のプロが語る”ボーダーの生きづらさ”

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