昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/09/15

「ほとんどは発達障害」って本当?

 発達障害には、自閉症スペクトラムや注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などがあります。一時期よく耳にしたアスペルガー症候群は、自閉症スペクトラムのタイプの一つに分類されています。

 持っている症状も様々です。自閉症スペクトラム一つを見ても、会話がほぼ成立しない人から会話に問題はない人、勉強も普通にできる人とできない人、教科によってひどく凸凹がある人などがいます。複数の情報から取捨選択できないタイプにも、情報が目に入っていない人だけではなく、他のたくさんの情報も一緒に頭に入ってきてしまい選べなくなる人もいます。一人一人を見て、その人の持つ特性を見極めるしかありません。

 シンスケ君のケースでは、親御さんが発達障害ではと疑っていますが、全く気付いていない方や、話を聞く限りこちらはそう思えないのに「うちの子は発達障害だと思います!」とおっしゃる方もいます。自ら診断を受けに行った方は少なく、病気と同様、必要な方がきちんと病院に行っているとは言えない状況です。

©iStock.com

 また通院しているのに適切な対応を受けていない場合もあります。精神科や心療内科もそれぞれ得意分野があり、どの病院でも一律の対応をしてもらえるとは限りません。発達障害の深い知識を持たず、ただ何となく薬を与えられているだけの場合もあります。病院は、発達障害を診療分野に掲げている所を選ぶ方がいいでしょう。

 発達障害とは何なのか、ただの性格や特性ではないのか、診断を受けることに何の意味があるのか、という問題があります。これには人や団体によって様々な考え方があります。本人が障害をどう捉えるかの問題もあります。

 私たちの場合は、「一般就労が可能か、障害者雇用の方がいいか」を判断基準にすることが一番多くなります。いつかはいなくなる親の元を離れて自分で生きていけること。これが私たちの支援目標の大部分を占めているので、就労の問題には必ず直面します。障害者雇用となると私たちだけでは対応できなくなるため、ここが大きな境目なのです。

 障害者雇用でなければ就労できないだろう、継続しないだろうと思った場合は、発達障害の診断を受けるために医療につなげます。診断を受け、障害者手帳を取得することにより、臨床心理士やケースワーカーの方とつながり、就労移行支援やA型B型事業所(雇用契約を結ぶのがA型、結ばないのがB型)が利用でき、障害者雇用や障害者年金の可能性を探るなど、将来の選択肢が広がるのです。

 発達障害が何なのか、私たちもよく分かっていません。発達障害という診断名は、それ自体に意味を求めるのではなく、困っている当事者が利用できる支援を増やし、可能性を広げるためのもの、と捉えています。このような発達障害の捉え方は、私たちの支援内容から出てくるものですので、一つの参考程度にお考えください。

 発達障害の話で欠かせないのが、「ボーダー」と呼ばれるぎりぎり障害の診断が下りない人たちです。障害ではないと判断されても、やはり生きづらさを抱えています。ですが診断が下りないため、医療も福祉も利用しにくく、行き場がないことが多いのです。