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「10年引きこもりでもうちの子は働ける…」1600人以上を支援したNPO関係者が語る”引きこもりのマッチング”

『コンビニには通える引きこもりたち』より#1

2020/09/15

「引きこもり」という言葉が世の中に広まって20年以上。2019年には元農水省事務次官が40代の引きこもりの息子を殺害する事件が起こり、衝撃を与えた。しかし、訪問活動と共同生活寮の運営などを通じて1600人以上の引きこもりを支援してきたNPO法人ニュースタート事務局スタッフ、久世芽亜里氏は、「引きこもりの実態は未だ理解されていない」と危惧する。「コロナの影響で、引きこもりへの支援は後回しになるのではないか」と語る久世氏の著書、『コンビニには通える引きこもりたち』(新潮新書)から「引きこもり」の実態を探る。

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長引く引きこもりには親にも一因がある

 引きこもりには色々なケースがあります。本人の性格や病気、家族関係、学校や会社の環境など、きっかけや要因は様々です。また、その人にとって自分を守るために必要な行動の場合もあるので、引きこもり自体を完全に否定するつもりはありません。問題は、その状況が長引き、固定化し、そこから動けなくなってしまうことです。どのくらい長期化・固定化したら問題かには個人差がありますが、行政が示した引きこもりの定義は半年です。私たちも、長くても1年たてば、問題としていいと思います。

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 引きこもりの人の大半は、親など家族と同居しています。一人暮らしの人でも、親から仕送りを受けている人が多くいます。引きこもりのほとんどの人に、親との関係性があります。逆に言うと、それは「親にできることがある」ということです。ここで親が適切な支援をすれば、かなりの割合の方が次のステップに進めるはずです。

 ところが実際はそうは行かず、引きこもりを長引かせている方が本当にたくさんいらっしゃいます。そこでこの章では、我が子の引きこもりに対してうまく支援できず、長引かせてしまう親御さんの問題についてお伝えします。