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親自身の素人判断は当てにならない

(事例1)
母「うちの子が引きこもっているんですが、どうしたらいいんでしょう?」
スタッフ「お子さんはおいくつですか? どのくらい引きこもっていますか?」
母「それはちょっと言えないんですが……」

(事例2)
父「うちの子はこんな状況なので、こういう支援をして欲しいんです」
スタッフ「多分それでは状況は改善しないと思いますが」
父「いえ、この支援がいいと思うので」

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 この会話のように、状況をあまり明かさずにアドバイスだけを欲しがる方や、自分で支援のストーリーを決めて、それだけをして欲しがる親御さんが少なからずいます。

 ここまで本書をお読みになった方なら、マッチングの難しさがあり、「万人に合う支援なんてものはない」ことはお分かり頂けると思いますが、そのことをご存じない方が多くいます。「唯一の支援」「最高の支援」を探そうとする方もいます。

 そもそも、引きこもり支援に関しては、親は素人です。様々な引きこもりがいる中で我が子がどんなタイプに分類されるのか、支援にはどんな種類があってそのタイプにはどれが合うのか、ご存じないのです。

 面談の際には必ず聞く項目があるのですが、それを自ら全て話してくれる親御さんは稀です。こちらにとって大事な情報を、故意に隠したのではなく、大したことではないと思って話してくれなかった方もいます。逆に昼夜逆転のように引きこもりではよくある傾向を、「うちの子は昼夜逆転で」と何度も話し、そこに固執する方もいます。引きこもり支援に限らず、素人判断は時に間違いの元ですが、残念ながら親にはその自覚がありません。