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政権に太いパイプを持つ人物の復帰……NHK人事の怪

  菅氏と言えばメディアとの関係でも怖い記事があったのを覚えている。こちらの記事。

『NHK、板野氏返り咲きを正式発表 関係者「首相官邸の意向」』(デジタル毎日2019年4月9日)

 昨年、NHKは元専務理事の板野裕爾氏を復帰させる人事を発表。

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《複数のNHK関係者は、政権に太いパイプを持つとされる板野氏の復帰は「首相官邸の意向」と明かし、NHKと政権との距離を危惧する声が上がっている。》

 関係者によるとこの方は、

《政権の意向を背景に「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターの降板を主導するなど、放送番組への介入を繰り返したとされる。》

 ギョッとする内容がふつうに書かれていて怖い。

「桜を見る会」で笑顔を見せる菅氏 ©️文藝春秋

変容するNHK』(川本裕司)という本を読むと国谷キャスターの降板で何があったのか詳しい。

《かねて伏線はあった。それが明確になったのは、14年7月3日、集団的自衛権の行使容認をテーマにしたクロ現に菅義偉官房長官が出演したときの出来事だった。菅長官の発言に対し「しかし」と食い下がったり、番組最後の質問が終了直前だったことで菅長官の言葉が尻切れトンボに終わったりしたため、菅長官周辺が「なぜ、あんな聞き方をする。『しかし』が多すぎる」とNHK側に文句を言った。》(P210)

 ここでも出てきたのは菅氏と菅氏周辺。

 著者の川本氏は、

《私が取材した限りでは、政治の側がNHKに国谷キャスターの降板を求めたという痕跡はない。権力者に遠慮しない国谷キャスターの存在を必ずしも快く思わなかったNHK上層部が政治の意向を忖度し、国谷キャスターの続投を望んだ放送現場の番組担当者の反対を押し切った結果だった。あるNHK幹部は「官邸を慮った決定なのは間違いない」と語っていた。》(P206)

 意に沿わない人物を直接干すバージョンもあれば周囲が意向を忖度するバージョンもある。本当は怖い令和おじさん。