「(今の状況は)国と地方自治体の連携不備、すなわち国家の機能不全が起きている状態です。なぜこのような事態に陥ってしまったのか。これは、そもそもの“国家の動かし方”が間違っているからです。僕が言う国家の動かし方とは、政府と地方自治体の役割分担、権限と責任の所在を明確にするか否かのことです」
この夏、「Go Toトラベルキャンペーン」やお盆の帰省のあり方を巡り、国と地方自治体の間で大きく意見が食い違った。なぜこのような状況に陥っているのか、改善点はどこにあるのか――。「文藝春秋」10月号では元大阪府知事の橋下徹氏が、地方自治体の首長を務めた経験から、国のコロナ対策の“処方箋”を語った。
国家の動かし方は2つしかない
橋下氏によると、国家の動かし方は基本的に2つの方法しかないという。
「1つ目は、中央集権型。国家全体を巨大なタンカーと見立てて、政府が権限と責任を全て持った上で、そのタンカーを操縦していくというもの。2つ目は、地方分権型。権限と責任を各自治体に振り分け、現場に操縦を任せるというものです。
本来はこの2つの方法を上手く組み合わせるべきなのですが、その際に政府がやるべきことと、現場の長に任せるべきことが、きちんと整理されていなければなりません。しかし今は、その役割分担を明確にせず、政府と地方というドライバーが2人同時に運転席に座って、それぞれが勝手にアクセルとブレーキを操作している。だから、国家の動かし方がチグハグになっているんです」
橋下氏は、現状について「政府が帰省など、地方のあらゆる問題に口出しをしている」のが問題だとした。その上でこれからのコロナ対策は、地方自治体ごとに各知事が状況を見て判断し、“ピンポイント”でおこなっていくべきだと主張する。