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会見後に起きた「前代未聞のドミノ」

 会見後、「東映の会見は流れを変えるのではないか」「他社は安堵しているだろう」という記事がいくつも書かれた。

 伊勢谷友介の出演映画は『いのちの停車場』を含めて『とんかつDJアゲ太郎』(10月30日公開予定)『十二単衣を着た悪魔』(11月6日公開予定)『るろうに剣心 最終章The Final/The Beginning』(2021年GW公開予定)の5本が公開を控えている。そのうち、最も公開日の遠い撮影中作品である『いのちの停車場』が真っ先に火中の栗を拾ってくれた形になったのだ。『いのちの停車場』だけではなく、それより先に公開を控える作品や俳優のファンたちからも安堵と歓迎の声がネットで上がった。

「火中の栗」を自ら拾ったのは東映社長だけではなかった。日本を代表する女優である吉永小百合もまた、コメントを避けようと思えば避けられる立場であったにも関わらず、まるで将棋の王将やチェスのクイーンが前線に立つように、はっきりと自分の意志と見解を示した。

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涙を浮かべ……池松壮亮と蒼井優が語った言葉

 昨年、ピエール瀧の逮捕による関係者のコメントで、最も心に残ったのは映画『宮本から君へ』の池松壮亮と蒼井優による舞台挨拶である。

池松壮亮 ©getty

「わたしたちは人を罰する力を持つのであれば、それ以上に人を許す力も必要なのではないか、そう個人的な見解で思っています。1日でも早く……いやそんなこと違うな。なんとか立ち上がって映画の現場で会えることを願っています」

 そう語る池松壮亮の声は震え、目には涙が浮かんでいた。

「私たちはこれからも映画を作り続けるので……なんでしょうね、待ってる、とも言えませんし……今まで一緒に楽しく物を作らせてもらったのは事実ですし、なんでしょうね、また……ああ、これ難しいですね……せっかく出会ったんだったら、お互いの人生がまた交差する時が来たら……なんかそれって……難しいな……偉そうなことは言えませんけど、人と人ってそうやって出会ったり別れたりしちゃダメかな、と思います」

 同じく涙を拭いながらそう語ったのは蒼井優だ。

 犯罪を許してはならないという指弾と、共演者への感情の間で若い俳優たちが板挟みになり、複雑な思いに引き裂かれるように言葉を何度も詰まらせては選び直す会見は見る者の胸を締め付けた。