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「自分メディア時代は終わる!」 ちきりんが描く、“教祖”抜きで成り立つネット社会とは

「自分メディア」はこう作る! ちきりん×pha対談より

2020/10/09

source : ノンフィクション出版

genre : ライフ, ライフスタイル, メディア, 働き方, 読書

本とブログ。残るのはどっち?

pha ファンクラブ的な面もあるかもしれないですね。それと僕がちきりんさんと違う点としては、「長く残したいものは本にしよう」って考えてるところかもしれない。ブログを含めネットにはあまり「残す文章」は書いてないかも。

ちきりん そこはかなり違いますね。実は私には、「本が残る」っていう感覚が全然ないんです。だって本って残ります? 2〜3年前に出した本でさえ、ふらっと入った書店で見つけるなんてほぼ不可能でしょ。たしかに本は紙だから物理的には残るけれど「人の目につく場所にあるか? いつでも読めるか?」という意味では、本が「残るメディア」とは思えなくて。

©iStock.com

pha たしかに残るといっても、僕としては「読もうと思ったときに古本や図書館で読めたらいいか」くらいな感じですね。

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ちきりん ブログはずっと前に書いた文章でも、継続的に読んでもらえ、感想をつぶやいてもらえ、シェアしてもらえます。本だけでなくツイッターやインスタ、フェイスブックや有料サイトより遥かに「過去に書いたものが読んでもらえる」のがブログだと思うんです。だから私にとって「残したい文章を書く場所」としては、今でもブログが最適です。

pha 残ることに意味を見出してないとしたら、ちきりんさんはなぜ「本」を出すんですか?

ちきりん 自分の思想や考えをしっかり伝えられるからかな。本だと10万字以上を使って、構成も工夫してまとまった考えを完全な形で伝えられるけど、ブログで10万字も書くなんてありえない。そんなの誰も読まないでしょ? でもたとえば『マーケット感覚』みたいな新しいコンセプトは、ブログだけで伝えるのは難しい。だから文字数が多く、構成をしっかり組める本で書く意味があると思っています。

Pha なるほど。ちきりんさんのやり方は結構特殊な気がしますね。10年後も読み返されるような内容は、みんなブログではなくて本に書いてると思います。