「教祖」がいなくても成り立つメディア
pha それはすごく素敵な未来ですね。次の10年はそういう時代になってほしい。あと、別に有名人やスターになりたいわけじゃないけど、単純に友達や仲間を増やしたい、って人がネットでつながれる方法がもっと増えたらいいなと思います。ネットに詳しくない人でももっと気軽にネットでゆるい友達を作れたらいいと思うんだけど、まだそういうのが足りない気がします。
昔の話になりますが、ミクシィのコミュニティは共通の趣味とかをきっかけにしていろんな人と知り合えた感じがあったんですが、なんかああいうのがもっとあったらいいな。フェイスブックほど閉じてなくて、ツイッターほど無防備じゃない何かがほしい。今はマッチングアプリがすごくメジャーになって、そこで恋人を見つけたり結婚相手を見つけたりするのが普通になったじゃないですか。あれの恋愛じゃない、ゆるくつながれる仲間を探すバージョンみたいなのがあったらいいのかもしれない。
ちきりん 昔のインターネットって有名人がいないことが当たり前だったじゃないですか。有名人はテレビとか雑誌のなかにいるもので、ネットの世界にはいなかった。それが2010年あたりからネット上で有名になる人が出てきて、だんだん「人」が主役になってきた気がします。そこからオンラインサロンみたいに、ネット上でのファンビジネスが出てきた。ユーチューバーもそうですよね。でもphaさんの言われるように、もう一回、関心事や趣味のようなトピックが主役のコミュニティを作るサービスがでてきたらいいと思います。「教祖」がいなくても成り立つメディアというか。
pha 例えば読書会とかがそれに近い感じなんでしょうね。人じゃなくて本というトピックを囲んで集まる感じで。
ちきりん 読書会はまさにそうですね。ファンが有名人にお金を払うんじゃなく、参加しているみんなが500円ずつ出して成立するようなコミュニティ。そういうのがメジャーになる時代って、もしかしたら「自分メディア時代」の終わりなのかもしれない。でも、誰もがストレスのかからない形で自己発信できるのであれば、それはすばらしい未来だと思う。是非そういう方向に進んでほしいですね!
ちきりん
関西出身。バブル最盛期に証券会社で働いた後、米国の大学院留学を経て外資系企業に転職。2005年に書き始めた社会派ブログ「Chikirinの日記」は日本有数の人気ブログとなり、ツイッターのフォロワーも35万人を数える。2011年からは文筆活動に専念。本書のほか、『自分のアタマで考えよう』(ダイヤモンド社)、『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう』(大和書房)、『未来の働き方を考えよう』(文藝春秋)など多数の著作がある。
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Pha
1978年生まれ。京都大学を卒業し、会社員を経た後、ネット好きが集まるシェアハウス「ギークハウス」を立ち上げる。現在は文筆業が主な収入源。著書として『どこでもいいからどこかへ行きたい』(幻冬舎)など多数。