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 他国が布などの代用素材で作ったマスクでしのぐなか、防疫に有効とされるサージカルマスクでのおしゃれを楽しむフェーズにある台湾。カラーマスクの草分けであり、リーディングカンパニーである「CSD中衛」に、カラーマスクの現在について伺った。

ブームを牽引したメーカー「CSD中衛」を直撃

台湾中部の彰化県にある本社ショールーム。絶版品を含む全カラーが並ぶ様子は、ファンにとっては夢のような世界。

 2020年6月1日(月)から自由販売と輸出が解禁されると発表されるや否や、国内外からの問い合わせが殺到とのニュース。

 販売開始後は、ECサイトでは、文字通りの“秒殺”状態。筆者が試した際は、開始20秒で決済画面に進めたものの、その時点でカートの中身はからっぽに……。

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CSD中衛・最高執行責任者の張德成氏。台湾のマスク市場を大きく変えた人物。作詞家としての顔も持つ。

「500箱のマスクが18秒で完売。最初の1分で10万人がアクセスしたとの報告を受けています。自由販売といっても、生産可能なマスクの65%は政府に徴収されるなかでの販売なので、個数が十分でないのはわかっていました。ただ、これほどの状況になるとは、まったく想像していませんでしたね」

 そう語るのは、CSD中衛の營運長(最高執行責任者)で、カラーマスクの生みの親である張德成(ジョナサン・チャン)氏。CSD中衛は1947年創業の医療消耗品メーカーで、張德成氏は三代目にあたる人物だ。

 アメリカの美大の名門、ロードアイランド・スクール・オブ・デザインで室内建築と美術を学び、有名ブランドの店舗デザインを手掛けるなどのキャリアを積んだ後、2011年にCSD中衛に入社。医療消耗品の世界に新風を吹き込むべく、2016年にカラーマスクのプロジェクトチームを結成。2017年に発売にこぎつけた。

数あるカラーバリエの中、張德成氏のお気に入りは、こちらの「炫霓紫(ウルトラ・ヴァイオレット)」。

「初代社長はガーゼ、二代目は個包装のアルコール綿で業界をリードしてきました。しかし、医療消耗品にこれ以上の成長はあるのだろうか……と考えを巡らせたときに注目したのがマスクでした。

 台湾のマスクは水色か薄緑色で、病院っぽいイメージが強い。これを違う色味にしたら、マスクが必要な場面で、皆がもっと積極的につけてくれるのではないか、と」