台湾でカラフルなサージカルマスクが大ブームになっている。

 現地在住日本人ライターが、ブームを牽引するメーカー「CSD中衛」を直撃取材。生産のいきさつ、人気の秘密、そして今後の展望とは? 前後篇の2回にわけてお届けします。


台湾の人々が熱狂するカラーサージカル現象とは?

2020年1月のベルリン・ファッションウィークでのスナップ。カラーマスクはランウエイにも登場。

 サージカルマスクの輸出禁止、政府による在庫の買い上げ、新規生産分の徴収、メーカー各社への製造機の提供、軍人による生産工場の支援……あらゆる手を尽くして生産量を爆上げしたことで、マスク不足を段階的に解消し、新型コロナウイルスの早期封じ込めを進めた台湾。

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 マスクの着用義務が緩和され、2020年6月からは、自由販売がスタート。久々の箱マスクの発売に、人々は列をなした。しかし政府による徴収も続くなかの自由販売とあって、メーカー側の供給には限りがあり、品薄傾向が続いている。

 7月中旬頃には台湾からの出国者の感染例が断続的に発覚。教育・商業施設などの公共空間でのマスクの着用義務が再制定されたのに加え、前副総統の陳建仁氏が「(各自)3か月分を備えておくのが好ましい」と発言。

 こうした第二波到来を示唆する動きに、自由販売の売れ行きは一層加速している。

 というのは、一般的なサージカルマスクの話。

 ここ台湾では、実は、それとは別次元のマスク争奪戦が繰り広げられている。6月以降、台湾のニュースを連日騒がせているのは、ビビッドカラーのサージカルマスク狂想曲だ。

 まず発売情報がニュースになり、ECサイトのサーバーダウンが報じられ、実店舗販売時は徹夜組の様子とその成果が映し出され……来る日も来る日も、カラーマスクを巡る人々の悲喜こもごもが伝えられている。

 いま、台湾の愛好家を魅了してやまないマスクの正体、それがこちら。

これらは、すべてサージカル。ビビットな蛍光色、バイカラー、迷彩柄など幅広いバリエーションがある。

 何よりの驚きは、これが正真正銘のサージカルマスクであるということ。

 日本では、台湾のマスクマップばかりがクローズアップされているが、マスクをめぐる台湾の先進性は、ITに限ったことではなく、ファッションにおいても世界をリードする立場に上り詰めたと感じている。