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 カラーマスクは材料のコストが高いうえ、製造プロセスや手間が多い。負担や効率を考えると“徴収令下では作らない”という選択もありましたが、カラーマスクのメーカーであるイメージを損なわないためにも製造を続行。

 しかし多くは作れませんでした。その結果、消費者の皆さんに“イースターの卵”のような、開けて驚く楽しみを提供することになった格好です」

ピンクマスク騒動では、Facebook上で男性がビンクを身につけた写真の投稿を呼びかけ、多くの人々がこれに賛同した。

 もうひとつのエピソードは、日本でもたびたび報じられている“ピンクマスク騒動”での計らいだ。

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 これは、管理販売でピンクのマスクが当たってしまった男の子が「ピンク色のマスクで学校に行きたくない」と言って困っているという母親の声を受け、中央流行疫情指揮中心(中央感染症指揮センター)の定例会見時、厚労大臣に相当する陳時中指揮官をはじめ、登壇した男性全員がピンク色のマスクを着用。台湾中から拍手喝采を浴びた一件だ。

 これを機に様々な組織や企業が公式HPのロゴなどをピンク色に変え、ジェンダーフリーを訴える一大ムーブメントに発展していった。

「当社では、大人用の徴収マスクに10万枚の櫻花粉(さくらピンク)を投入しました。身に着ける色の問題でいじめられない世の中にするには、まずは大人がお手本を示すべきだと。

 多くの大人にピンク色のマスクが届けば、それが可能になりますよね。小さなことかもしれませんが、一人一人に立ち上がってもらうことが大切だと感じたのです」

 指揮官らのパフォーマンスとメーカーの粋な計らいによって、街中には、老いも若きも、ピンク色のマスクを着けた男性が目立つように。小学校高学年の男の子が颯爽とピンク色のマスクで登校している姿には胸が熱くなった。

 しかし、このエピソードが日本に伝えられても、男性たちの声は「ピンクはなかなか、ちょっと……」と躊躇するものが大半だったように思う。

「男性でピンク色を抵抗なく着けられるのは、自分に自信がある証。それでなくとも、ピンク色はとても肌なじみがよく、誰にでもよく似合う色味なんです。男性も一度着けてみて、顔色が明るく見えるのを実感してほしいですね」