ロンメルが編み出した砂漠戦でのトリック
昨夜騒ぎたてた側面の方で、重機関銃と迫撃砲を射ちだした。爆撃機は機首をさげ、頭上を越えて、突っ込んでいった。編隊は周辺地区を襲った。爆弾がかん高い音をたてて落下し、地雷原で爆発した。ロンメルは砂漠戦での新しいトリックを編みだしたのであった。彼は防禦部隊を爆撃しないで、地雷原の通路を爆破させた。爆撃を受けて一つが爆発すると、次から次へ、一連の地雷が爆発する。一つの爆弾が一連の地雷の起爆薬となる、ちょうど原子爆発の連鎖反応のようなものだ。急降下爆撃機は爆弾倉を空にし、発動機をうならせながら、頭上低く飛んで、帰って行った。爆撃機は邪魔物に妨害されずに飛行していた。イギリス空軍がガンブートの飛行場から追い出されたため、ドイツ空軍は「フーレン・ケーネ」(ハリケーン機)に悩まされる心配がなかった。
最初の爆弾が落ちた時、前方で数人の兵隊が壕へかけこむのが眺められた。敵の前哨地点だ。だが私たちは狭い谷に腹這いになったままでいた。まだ私たちの所在に、気がついてはいないようであった。いまや攻撃の時がきた。わがほうは敵の姿が見えなくなった地点めがけて、つづけざまに機関銃弾を射ちこみ、弾帯を次から次へ空にし、そしてわずかに陣地があるとおぼしい構築物を射ちまくった。
わが突撃工兵が、おどり出て、前進した。さらに鉄条網を破壊するために、爆薬を搬んでいた。かくて地獄図が展開されることになった。
前方陣地に側面砲火を浴びせる
防禦部隊第11インド旅団の熾烈な砲火が、わがほうを迎えた。側面から1挺の機関銃が絶え間なく掃射したが、工兵は落ち着いて前進をつづけた。彼らは砲兵隊のために信号弾を射ちあげた。弾幕が先にのびた。すると、工兵は発煙筒に火を点じた。
これは私たちへの合図だった。煙幕に隠れて私たちは進撃した。幾人かが倒れた。が、私たちは急いで先へ進み、間もなく最初の塹壕に着いた。からであった。いまや遮蔽物があり、視界もよい。トブルクからの砲火――いまでは私たちの背後に落ちていたが――を冒して、わが自動車化歩兵部隊は、対戦車砲と戦車の掩護の下に、通路の方へ進んで行った。
工兵隊は対戦車壕と取り組んでいた。この壕はところどころが上向きに反らしてあった。工兵は壕に橋を渡したり、それを埋めたりしていた。増援を受けた歩兵は壕から壕へと突撃した。ちらっと右翼の方をうかがうと、そこはかなり進出していた。わが部隊は先頭を切って突進し、すでに前方陣地に側面砲火を浴びせつつあった。
いいぞ――すばらしい!