ユーチューブのアクセスは米印に続き世界3位
――話題になった世界のYouTubeスーパーチャットランキングで、上位を日本のアカウントが占拠しました。なぜ日本の視聴者は世界で一番投げ銭をするのでしょう?
まず意外と知られていないこととして、日本のユーザーは世界でもYouTubeの視聴時間がかなり長いんです。人口は1億2000万人にもかかわらず、YouTubeのトラフィックは世界でアメリカ、インドに次いで3位です。
YouTubeの生配信であるYouTube Liveも同じ傾向があり、1カ月に全世界で5億時間視聴されている中の8600万時間、つまり5分の1弱を日本からのアクセスが占めています。
YouTubeがほぼ見られない中国を除いてもこれは相当高い割合で、投げ銭の多さについても、日本でのYouTube人気が大前提にあります。
――YouTubeは世界中で人気なのだと思っていましたが、特に日本では飛び抜けて人気なのですね。ランキングで意外だったのは、ヒカキンさんや東海オンエアさんのようないわゆるYouTuberとして有名な人たちが上位にランクインしていないことです。これは何故でしょう?
コンテンツの形式による収益モデルの違いが一番大きいと思います。たとえばヒカキンさんは10分から30分ほどの動画投稿がメインですよね。しかしスーパーチャットは主に生配信についている機能なので、今回のランキングでも生配信がメインのアカウントが上位に来ています。
動画は無料で公開されているかわりに広告が表示され、その広告料がクリエイターの収入になるシステムです。一方で配信は生なので広告を挟みにくく、ユーザーに月額課金や投げ銭などで直接お金を払ってもらう文化が広がりました。
5年ほど前からFPS(1人称視点でのシューティングゲーム)を中心としたゲーム配信の世界で月額課金が定着し、投げ銭はここ2~3年で一気に伸びてきた新しい収益モデルです。現時点では、日本のVTuberたちが世界で一番うまく使っていると言えます。
つまり、クリエイターのお金の稼ぎ方の進化につれて、選択肢が増えてきたということです。広告費や月額課金の収入で比べたら、ランキングは投げ銭とはまったく違うものになるでしょうね。