2018年4月、強風で倒れてきた看板の下敷きになり、下半身不随となったアイドルの猪狩ともかさん。「たたき上げ」とも言うべき経験を原動力に、事故から復帰。今年7月には初の著書を出すなど順風満帆にも見える。
しかし一方で「車椅子アイドル」と呼ばれることへの違和感も抱えているという。それは何故なのか。
また、著書『100%の前向き思考』(東洋経済新報社)のエピソードや胸に去来するメンバー達との思い出、卒業への率直な不安、そしてそれを越えた先に描く今後の芸能活動の展望などを語った。(全2回の2回目。1回目を読む)
メンバーには「すごく感謝してます」
――ライブでは車椅子でステージ上を縦横無尽に駆け巡るので、かなり体力が必要ですよね?
猪狩 そうですね。やっぱりまだフル出場はできていないです。でもトレーニングで体力がついてきて、前は2~3曲したらすぐバテバテだったんですけど、結構出れるようになりました。前回のワンマンライブでは全体の半分の11~12曲ぐらいは出たかな。
――ご著書『100%の前向き思考』の中で、ダンスの先生が「猪狩さんが入ることによって幅が広がることもたくさんある」とおっしゃってますが、具体的には?
猪狩 私が車椅子でみんなの間をS字みたいに抜けていったり、誰かが私の車椅子を押すパフォーマンスをすることで、「心のバリアフリー」みたいなものを表現できたりするのかなと思います。
車椅子の周りに集まってくるというフォーメーションもあって。スチームガールズの『COLOR☆DAY』という曲で「みんなで集まって」っていう歌詞の時に本当に私の周りに皆が集まってくるんです。そこは結構お気に入りですね。
――メンバーとの横の交流がご著書『100%の前向き思考』の中に多く出てきます。やはりメンバーの皆さんは心の支えになっていますか?
猪狩 そうですね。入院中も、スケジュール調整して毎月1人1回は必ずお見舞いに来てくれました。復帰してからも、お着替えを手伝ってくれたり、移動してる時に荷物が置いてあって通れない時にサササッとどかしてくれたり。皆もきっと車椅子の人との関わり方を模索しながら一緒にいてくれていると思うので、すごく感謝してます。