妻に共感する
会話を増やしていくとき課題になるのは、夫が、妻の話を上手に聞けるかどうかということです。男性は要件のないコミュニケーションが苦手です。そこで夫婦の会話には困らないという妻の話を参考にしてみましょう。
「夫は私の話を聞くのが上手です。『今日初めて行った駅のトイレがウォシュレットで驚いた』と言ったら、『それはすごいね』と感想を言ってくれました。いつもそうやって反応してくれるから、こちらも話しやすいのです」
その方の夫は、子どものころ、お母さんの話を聞くことが多かったそうです。
「うちは男4人兄弟で女の子がいなかったせいか、母は寂しかったのでしょうね。母が料理している間に横で手伝いながら、よく話を聞いていました」
母親との会話が多かった男性は、女性の話を聞くのが上手です。母と娘の関係に近いので、女性の話を聞くことに慣れているのです。
女性は自分の感情を消化するために、他の人が共感してくれることを必要とします。ですから女性の話を聞くことに慣れていない男性も、妻のグチには付き合ってあげて、最後には「それは大変だったね」「嫌な思いをしたね」と、共感してあげるようにしましょう。妻はその一言ですっきりし、機嫌もよくなるはず。
ここで大切なのは、いきなりアドバイスしないということです。妻は解決方法を求めているわけではありません。心のモヤモヤについて共感してほしいのに、いきなりアドバイスめいたことを言われると、お説教にしか聞こえないことは、第3章で説明したとおりです。
妻が意見を求めてきたときだけ伝えればいいでしょう。
「疲れて帰ってきているのに、毎日、妻のグチにはつきあえませんよ」
と、カウンセリングの場で困惑する夫も少なくありませんが、毎日ではなく、ときどきで十分です。次第に妻の話を聞くことに慣れていくはずです。