まずは感想を一言
そうはいっても、じつのところ女性の話に共感することは、男性にとって難しいことだと思います。カウンセリングの場でよく聞く妻の不満です。
「夫は『へえ』とか『ふうん』とつぶやくだけで、まともに返事をしてくれません」
そこで何人かの夫に尋ねたところ、実際はどう返事をすればいいのか、分かっていなかったのです。そうした夫へこんなアドバイスをしてみました。
「『俺だったらこうするな』という形で、ひとこと感想を言いましょう」
先ほど「いきなりアドバイスしない」と書きましたが、言い方さえ工夫すれば自分の意見を言ってもかまいません。お説教だと受け取られないようにすればいいのです。「俺だったら」と添えることによって、押しつけがましい感じが薄れ、「あくまで私の感想だけどね」というトーンになります。
妻が「ママ友との間でイヤなことがあった」と言ったとき、
「だったら、もう会わなければいいんじゃない?」
ではなく、
「俺だったら、もう会わないようにするけどね」
と返事をすれば、言われた妻の受け取り方はかなり違います。この「俺だったら」を「男同士なら」にすれば完璧です。
「男同士なら、もう会わないけどね。もしくは、その場ではっきり言うし」
こう夫から返事があれば、妻は、
「女同士はそれができないんだよね」
と言えるので会話が続くわけです。
私がアドバイスした先ほどの男性は、後日、こんな感想を言いました。
「最初は何を言えば妻に怒られないのかな? と迷いましたが、思ったことを言えばいいんだと思ったら、気持ちが楽になりました。いまはもう慣れています」
妻のほうも、以前より満足しているそうです。
「私が『今日は仕事が順調だった』と言えば、『それは良かった』と言ってくれます。『会社で嫌なことを言われた』と言うと、『俺だったら気にしないようにするけどね』と言うので、『でも、私、気になっちゃうんだよね』と、一応、会話が続きます」
繰り返しになりますが、もっとも大事なことは会話の量を増やすことです。とくに、妻の気持ちを察して共感するのが難しいという夫は、まずは感想をひとこと言うことから始めてみましょう。