気持ちを行動で示す
妻とのコミュニケーションを増やすためには、感想を言うことからはじめ、次に共感していることを伝えることが大事です。それが出来たら、次は妻の気持ちを考え、行動で自分の気持ちを示すことも考えてください。次のような場面ではとくに効果的です。
「私が熱を出して寝込んだとき、主人は心配もしないで、仕事が休みだから、ソファでテレビを観ながら、私に『飯はどうするの?』って言うのです。おかしくないですか?」
この「自分が病気なのに夫は何もしてくれない」という不満は、カウンセリングの場でよく聞きます。
「別に看病してくれと言っている訳じゃないのです。でもご飯くらい、自分でどうにかして当然じゃないですか? 私が作れないのは見れば分かるのだから」
実際のところ、夫だって病気の妻に「食事を作れ」と言っているわけではありません。たんに食事の問題をどう解決すればいいのか、その答えを求めているだけなので、「何か買ってきて、食べて」と妻に言われれば、素直にそうするはずです。
このように「妻が病気になっても、どうしたら良いか分からない」という男性は少なくないようで、そのまま放っておく男性も多いと聞きます。看病するという経験がないので、何をしたら良いか分からないからです。
分からないのも、やはり男性の育ち方に原因があります。子どものときに母親が病気で寝ていても、息子は看病しようと思いません。それは自分の役割ではないからです。母親は、自分が面倒をみるのではなく、自分の面倒をみてくれる存在だからです。
繰り返しになりますが、夫は、母と息子の関係に、妻と自分の関係を重ね合わせてしまいがちです。母親が病気のとき、食べるものがない息子は、「ご飯どうするの?」と尋ねます。すると「お父さんに頼んで」とか、「冷凍庫にピラフが入っているから、チンして食べて」と返ってくるので、言われた通りに食事を済ませます。そうして育ってきたので、妻にも同じことをしてしまうのです。
あえて繰り返しますが、妻は母親ではありません。夫には自分へ関心を向けて欲しいし、病気になれば心配してほしい、病気で不安な自分の心に寄り添ってほしいと思うのは当然です。そうした気持ちに行動で応えましょう。
夫婦仲がとても良いという女性の話です。
「私が家の中で転んで、足を怪我したとき、翌朝、何も言っていないのに、仕事を休んで病院に連れて行ってくれたのです。感激しました」
仕事を休めないという男性も多いと思いますが、出来ることなら仕事に遅れて行くなどして、病院に一緒に行ってあげると女性はとても喜びます。これが心配な気持ちを行動で示すということです。
どうしても一緒に行けないときは、「一緒に行けなくてごめん」と伝えて下さい。行動で示せないなら、せめて言葉で示しましょう。男性も、病人やけが人に対しては思いやりの心を示すものでしょうが、つい妻に対しては甘えてしまいがちです。妻にこそ、きちんと自分の気持ちを伝えなくてはいけません。
伝えるべき言葉の中でもっとも大切なのは「ありがとう」と「ごめんなさい」です。この言葉をきちんと口にするように心がけましょう。