「臭い消しについては、最初に携帯で調べたんです。『腐敗臭』でやると、バーッと出てきますよ。漂白剤が効くとか、ネコ砂がいいとか…。その通りに試してやってました。もう、××(商品名)が半端ないです。まな板の消毒とかにもいいし…」
「やっぱり遺体は臭いが強いものなの?」
「腹を割った瞬間に臭いが出てきますから」
「そうですね。とくに内臓とか尋常じゃないです。腹を割ったときが一番すごい。割った瞬間に臭いが出てきますから。臭いについては警察でも聞かれたんですけど、説明しようがない、それまでの人生で嗅いだことのない臭いです」
まるで夏場の食品について話すかのように、平然と口にする。そんな彼に聞く。
「解体するときに、気味の悪さは感じなかったの?」
「それはもう、自分でなんとか乗り越えました。腐敗臭で満たされるのは辛かったですよ。腐敗臭がとにかく辛いけど、捕まりたくない一心だったんです」
続いて、解体用の道具についての説明を始めた。
片刃ノコギリ、包丁2本、ハサミ
「片刃ノコギリと包丁2本、あと包丁を研ぐための砥石とハサミを用意しました。ハサミは皮を切るためです。僕も自分でやるまで分からなかったんですけど、人間の皮って尋常じゃないくらい硬いんですよ。分厚いし切れない。最初は包丁でやろうとしたんですけど、刃が滑って切れないから…。ハサミの方が切りやすかったですね。解体方法についてはネットで調べました。調べた通りにやったんです。風呂場で…」
その後も遺体の処理方法について、白石は饒舌に語る。そこではいくつかの具体的な商品名が出てくるが、模倣犯を防ぐために割愛させていただく。ただ、彼がいかに臭いを消すことに腐心していたかが、明確に伝わってくる。
「小野さん、知ってます? 肉と脂肪を取って骨だけになると、ほんと軽いんですよ。そうして切り取った肉と脂肪は、××で包んで、××に入れ、最後は新聞紙でくるんで、燃えるゴミとして捨ててました」
手首や足首などは、原形を留めたまま、ある商品で梱包してから、何重にも新聞紙でくるんで、捨てていたそうだ。
ただ、ここで疑問が生じてきた。そのように遺体の一部を燃えるゴミとして捨てていたにもかかわらず、逮捕時の白石は、警察官に「これは××さんの遺体です――」との説明をしたと以前に聞いた。いったい彼の部屋には、なにが残されていたのだろうか。