9月30日に、東京地裁立川支部で初公判が開かれ、現在も裁判が続いている「座間9人連続殺害事件」。白石隆浩被告が強盗・強制性交殺人罪などに問われている。

 2017年8月からの約2カ月間に、SNSで自殺に関する投稿をした当時15~26歳の男女9人を誘い出して殺害し、自宅で遺体を解体。遺体の大部分は遺棄されていたが、頭部などは自宅のクーラーボックスから発見された。 この世間を震撼させた凶悪事件の加害者である白石被告は一体どんな人物で、如何にして犯行に及んだのか――。

 ノンフィクションライターの小野一光氏は、立川拘置所(東京都立川市)で白石被告と11回にわたって面会し、その対面記録を「週刊実話」(日本ジャーナル出版)に連載している。本記事では同誌2020年10月29日号に掲載された連載最終回から転載する。

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 ※本稿にはショッキングな表現が多出します。ご注意下さい。

白石隆浩被告 ©️文藝春秋

◆ ◆ ◆

「殺人の理由はおカネと性欲ですよ」

「自分のなかにフローチャートがあって、出会ってまず、おカネがありそうかどうか判断するんですね。おカネになりそうだったら、付き合っておカネを引っ張って、おカネにならなそうなフローチャートの人はレイプする。ほんと、殺人の理由はおカネと性欲ですよ。まあ、3人目の男性は証拠隠滅のためでしたけどね」

 9月2日の10回目の面会。白石隆浩は被害者9人を殺害した理由について、そう口にして振り返った。そこで私は聞く。

「亡くなった方への気持ちはどうなの?」

「本音を言うと、なにも思ってないんですよ」

 白石は即答する。そして、ちょっと間を空けて言い換えた。

「他の事件とかを見ても、(被害者や遺族に)謝る人はいますけど、僕の場合は遺族に対してはなにも思わないですね。まあ、被害者に対しては、少しは思うことがあるんですけどね…」

 それは連続殺人の場となった部屋を借りる費用を肩代わりし、最初に殺された被害女性に対してだという。

白石隆浩被告 ©️文藝春秋

「初めての殺人でしたけど、一緒にすごしたのが長かったので、情が移ったというか、かわいそうなことをしたかな、という思いはありますね。ただ、2人目以降については、正直、なにも思ってないです」

 そこまで話を聞いたところで、私は6回目と7回目の面会で話に出た、彼が付き合いながら殺害していない、32歳のマッサージ師の女性のことを思い出した。