殺人を告白した相手女性に送ったLINE
「聞かれましたね。だから彼女にも正直に話してます。ただ、口説けなかったでしょ。2番目の子は口説いた後でその話をしたから、大丈夫だと思ったんですけど、そのときは正直焦って、彼女が帰った後でラインをして、『さっきのは全部嘘だから。忘れてね』ってメッセージを送りました」
「なんで口説き落とす前に、クーラーボックスの話をしちゃったの?」
「自分の口説きにある程度、自信を持ってたんですよ。だから、口説けば大丈夫だと思ってたんです。そのことは警察にも話してます」
ここで刑務官から、残り時間が5分であると知らされた。私は取材を打ち切り、次回の面会は9月16日にすることを話した。
「じゃあそのときに、深田恭子の昔の写真集と、インコとハムスターの写真集をお願いしますね」
この日もすでに、ハムスターの本2冊と鳥類図鑑を差し入れていた。
「あ、それから…」
白石は今日帰る前に、次の物品を売店で購入して差し入れてほしいと口にした。
白石が送る拘置所生活の実態とは?
「その分は次回の謝礼から差し引いてください」
彼が私に求めた物品は次の通りだ。
●鉛筆の黒と赤と青を1本ずつ
●B5版ノート1冊
●歯ブラシ(やわらかめ)1本
●綿棒1セット
●つまようじ1セット
●防寒長袖U首(厚地、3Lサイズ)1枚
●防寒長ズボン(厚地、3Lサイズ)1本
●砂消しゴム 1個
●白タオル 1本
以上、計8876円の差し入れだった。
そして、約束した9月16日に、12回目の面会をするべく、拘置所へと向かう。すると、いつもとは違い、面会室ではなく、面会窓口に呼ばれた。
「申し訳ありませんが、今日は辞退するそうです」
どうしたのだろうか。なにかあったのだろうか。私はその夜、白石に電報を打ち、次は9月25日に行くことを伝えた。
だが、その日も彼は面会を辞退した。私が書いた記事が、なにか彼の逆鱗に触れたのかもしれない。そこで最後にもう1回だけと、9月28日に拘置所を訪れたが、結果は同じだった。
こうして、白石との対面は計11回で、あっけなく幕切れとなったのである。ただ、ある意味、それも“彼らしい”と納得する自分がそこにいた。