9月30日に、東京地裁立川支部で初公判が開かれ、現在も裁判が続いている「座間9人連続殺害事件」。白石隆浩被告が強盗・強制性交殺人罪などに問われている。

 2017年8月からの約2カ月間に、SNSで自殺に関する投稿をした当時15~26歳の男女9人を誘い出して殺害し、自宅で遺体を解体。遺体の大部分は遺棄されていたが、頭部などは自宅のクーラーボックスから発見された。この世間を震撼させた凶悪事件の加害者である白石被告は一体どんな人物で、如何にして犯行に及んだのか――。

 ノンフィクションライターの小野一光氏は、立川拘置所(東京都立川市)で白石被告と11回にわたって面会し、その対面記録を「週刊実話」(日本ジャーナル出版)に連載している。本記事では同誌2020年9月24日号に掲載された連載第6回から転載する。

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 ※本稿にはショッキングな表現が多出します。ご注意下さい。

白石隆浩被告 ©️文藝春秋

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拘置所から”獄中結婚相手募集”

「記事、先週金曜日に読みました。それで、こんなことなら言っとけばよかったってことがあって…」

 白石隆浩との面会6回目の8月3日、彼は小誌に掲載された、この連載の第1回目を初めて読んだことを口にした。私としては反応が気になるところだが、そこで彼が切り出したのは、予想もしない言葉だった。

「これ、持ち込み企画なんですけど、僕の“獄中結婚相手募集”って出してもらえないですかねえ。せっかくああいう記事が出るんなら、誰かいい人が見つけられたらと思って…」

 聞けば、以前は手紙を送ってきたり、差し入れをしてくる女性が何人かいたそうだが、女性週刊誌に記事が出て以来、ぱたりと止んだのだそうだ。私は聞く。

「獄中結婚を考えるのは、(死刑の)確定後のことを考えて?」

「そうですね。死刑が確定すると、家族以外の誰にも会えなくなるじゃないですか。だから、誰かと結婚してたほうがいいかなって…」

 この記事は時系列で出すため、タイムラグが生じることを彼に伝えた。そのうえで今回の掲載に至る。