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南牟礼か小林か……阪急ファンになった14歳、ある野球ゲームの記憶

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/10/23
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みんな歳をとった、球団も変わった

 中高一貫校だったのでそれから数年、我々は「熱闘12球団ペナントレース」と「ベースボール・レコード・ブック」を毎年割り勘で買い、O君が職人のようにグレードアップしたカードの内容を決め、皆はサイコロが導く試合結果に一喜一憂した。いまの中高生があの光景を見たら、どんな感想を抱くのかちょっと興味がある。ともあれ当事者にとっては、あの牧歌的なのか進んでいるのか分からない12球団リーグは心底楽しいものであった。

 あれから早いもので35年ほどの月日が流れた。球団のいくつかは身売りや本拠地の移転、愛称の変更を経験した。私自身も阪急ブレーブス→オリックス・ブレーブス→オリックス・ブルーウェーブ→オリックス・バファローズという変遷を経験してきた。カードという形で躍動していた選手たちは全員引退、コーチとしてもベテランの域に達しつつある。

 

 12球団の「監督」も、気が付けばそれぞれ交流がなくなってしまった。ヤクルトスワローズの監督で学年の中心人物であった男だけは社会人になっても多くの同期とつながっていたのだが、38歳という若さで早世してしまった。

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 今年は13回忌で、同級生が集まる機会でもあれば冒頭に書いた新品を使って追悼試合でもしたいと思っていたのだが……、新型コロナウィルスもあってそういう話にもならなかった。

 それでもいつか、一度くらいはあの頃に戻ってサイコロを振ってみようかと思っている。南海ホークスの監督とは繋がっているので、ヤクルトの監督代行を誰にするかも含め、相談してみようかと思う。

 

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