全国で唯一60年以上連続で東大合格者数トップ10以内に居続ける名門、東京の麻布中学・高等学校。
一方で、文化祭実行委員が髪の毛を緑やピンクに染めるなど、自由な校風でも知られている。
そんな名門の卒業生たち9人にインタビューした『麻布という不治の病 めんどくさい超進学校』の著者で、自身も麻布OBのおおたとしまさ氏が、「麻布教育」の本質に迫った。
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超進学校でありながら自由な校風の「麻布」
全国にあまたある私立中高一貫校のうち、戦後の中高一貫校1期生から東大合格者数トップ10に一度ももれたことのない学校が1つだけある。東京都港区にある麻布中学校・高等学校だ。そのような超進学校でありながら、幅広い分野で活躍する卒業生を育てる自由な校風が有名だ。
特に著名な卒業生としては、元内閣総理大臣の橋本龍太郎さんや福田康夫さん、元官僚の古賀茂明さんや前川喜平さん、俳優のフランキー堺さん、作家の安部譲二さん、なだいなださん、吉行淳之介さん、脚本家の倉本聰さん、ジャズピアニストの山下洋輔さん、アナウンサーの桝太一さんなどがあげられる。恥ずかしながら私も同校に学んだ者である。
中高6年間の自由な校風の中で、麻布生が何を得ているのかを明らかにするために、各界で活躍する9人の卒業生へのインタビューを行い、『麻布という不治の病』という本にまとめた。その結果わかったことがある。彼らにほぼ共通しているのは、麻布卒業後、「沈没」経験をしていることだ。麻布時代の浮かれた思い出とともに、その後の「沈没」経験を語ってもらった。