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「西の関東連合を目指す」大阪・ミナミの半グレはなぜ増えたか

2019年は300人以上の半グレを逮捕 (『半グレと芸能人』より#1)

2020/10/16

source : 文春新書

genre : ライフ, 社会, 読書, ライフスタイル

 また、2020年6月には経営していた飲食店で「店を辞めたい」と申し出た従業員を脅迫して働かせ続けたとして、従業員に対する労働基準法違反(強制労働の禁止)容疑で逮捕されたのを皮切りに、野球賭博を主催したとして賭博開帳図利容疑で沖縄県警組織犯罪対策課によって7月に再逮捕。さらに8月には経営していた飲食店の元従業員に電話で因縁をつけ、カミソリで眉毛と頭髪を剃るなどの暴行を加えたとして強要、暴行容疑で再逮捕されている。

 解散後に石垣島に渡ったYに対して、相良をはじめとした一部の強者の残党はミナミに残り半グレ化したという。

 そして、2015~2016年ごろから相良率いるアウトセブンを中心に、右腕の籠池勇介の率いる「テポドン」グループや、「モロッコ」などの半グレグループを形成していくこととなる。相良がトップのアウトセブンを頂点としたグループには、傘下に小さなグループがピラミッド型に多数存在しており、そのメンバーは100人程度いると見られている。

「メンバーの多くが大阪の不良少年仲間や地元の後輩。それらのメンバーがキャッチグループを形成し、ボッタクリバーなどに連れ込むのがメインのシノギです。奄美大島や石垣島などでも同様の飲食店を傘下の人間に経営させ、そのアガリを上納させたりもしています」(大阪府警関係者)

  そして、ミナミで彼らが台頭してきたのは、2015年からはじまった山口組の分裂騒動も影響している、と前出の大阪府警担当記者は指摘する。

「六代目山口組、神戸山口組の分裂以降、警察当局の目を気にして動きにくくなった暴力団に取って代わって、相良らは店舗経営を軸にしたボッタクリ行為などを繰り返していました」

©iStock.com

 このように、ミナミの街で違法行為を繰り返していた相良らだが、暴力団とは違って今どきの不良としての一面も併せ持っている。

 籠池はアウトロー系のファッションモデルとしても活動し、SNSなどで若者らに不良としてのファッション性をアピール。ミナミで飲食店を経営していた籠池のインスタグラムのフォロワー数は1万6000人を超えている。

「『Nスペ』でも、インスタを見た女性がわざわざ地方から籠池の店に遊びに来て、一緒に写真を撮ってもらって喜んでいる場面が放送されていました。『Nスペ』が半グレをまるでヒーローのように取り上げたことは、警察当局を大いに刺激したようです」(同前)

取締り強化の対策会議

  大阪府警は『Nスペ』放送から約1カ月後の2019年8月26日、自身の経営する飲食店の売上金を巡り、関係者の20代男性に対し、「お前何しとんじゃ、金返さんかい」「殺すぞ」などと100万円を脅し取ろうとしたとして、籠池勇介を恐喝未遂容疑で逮捕した。

 この事件ではのちに籠池は不起訴となっているが、籠池を逮捕した翌9月に大阪府警は暴力団に代わって台頭してきた半グレに対する取締りを強化する対策会議を開いている。会議には組織犯罪対策本部や刑事部などから約50名が出席。大阪府警の石田高久本部長は、「あらゆる法令を適用して取締りを推進し、資金源の剥奪、集団の弱体化・壊滅を図ってほしい」と捜査員らに檄を飛ばした。