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1Kのアパートで4メートルのヘビを放し飼い

 過去にはこんな事件があった。

「数年前に都内のアパートにガサ入れに入ったらヘビを5頭以上飼っていて、その内の1頭が全長4メートルのビルマニシキヘビでした。飼育者は20代の男性。飼育ケースにフタをしていなくて、1Kのアパートで放し飼いに近い状態でした。

ビルマニシキヘビ(インドニシキヘビ)も動物愛護管理法の改正でペット飼育は禁止に。全長は平均4メートル前後、ギネスブックには全長8メートルを超える個体の記録があり、人を捕食した例も報告されている。 ©️iStock.com

 当時はまだ飼育環境を整えて登録すれば飼育OKでしたが、この男性は登録していなかった。賃貸住宅の場合、登録には大家さんの同意が必要で、4メートルの大蛇を部屋で飼ってもいいという大家さんはほとんどいませんから、登録したくてもできなかったのでしょう。

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 ヘビ好きなのはよくわかりますが、寝ている間にヘビが飼育ケースから出てきて首の上にのったり、巻き付いたりしたら、柔道の絞め技のように“落ちる”状態になって死ぬこともある。命拾いして良かったね、というのが正直なところです」

「大人しくて咬まない」は思い込み

 爬虫類の専門家が大蛇を扱うときは、必ず2人で対峙するという。いくら大人しいヘビでも何かの拍子で噛むことはあり、噛んで巻かれて締められると1人では解けず、命を落とす危険があるからだ。

「男性は『大人しくて、絶対に咬まない』と言っていましたが、確かに野生のヘビと違って、飼育されているニシキヘビは攻撃的でなくなり、慣れたように見える個体もいます。一方、人間も次第にヘビに慣れて、危険に対する感覚が麻痺する。この慣れと慣れがあわさって、爬虫類との距離感を失ったときに事故が起きる。警察のガサ入れに協力しているのは、こうした事故を防ぎたいという思いが強いですね」

「大人しくて咬まない」というのは人間側の勝手な思い込みで、そう信じてしまう人ほど事故に遭う危険性が高いという。

※写真はイメージ ©️iStock.com

 日本で飼育が許可されているヘビ、トカゲの中に日常的に人間を襲う種類はいないが、違法な動物となれば極めて危険な種類も含まれてしまう。

 危険な動物ではなくても、絶滅危惧種や天然記念物の動物をペットして飼うのも認められていない。