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冬でも読みたい「怖い話」

「首吊り自殺が起きた事故物件に住んでみた」芸人・松原タニシが語る“死にやすい部屋の条件”

1K6帖ロフト付き、家賃3万6000円

2020/01/07

 いま僕は全国の事故物件情報を集めている。できれば確実に「出る」物件、何かが「起こる」物件を求めており、条件が合えば住むつもりだ。効率は良くないかもしれないが、ツイッターで呼びかけて、良い情報があればダイレクトメッセージで送ってもらうようにしている。

 しかし、「これだ」という物件にはなかなか辿り着けない。怪談話でよく聞くような「女の霊が出る」部屋や「住むと呪われる」部屋というのは、実際には稀有な物件なのである。

「死にやすい部屋」は存在する

 これまで9軒の事故物件を渡り住んできた。その結果、実体験としてわかったのは、人が死んでいるからといって“何かが起こる”とは限らないということ。むしろ何も起きない物件の方が多い。

松原タニシ氏 ©悠遠かなた

「物音が鳴る」「気分が滅入る」などといった報告例では、そうした事象を「そこで人が亡くなっている」という事実と結びつけた結果、霊の仕業だと思い込んでしまう人が多いようだ。大抵の場合、その建物の性質上寒暖差によって生じる家鳴りであったり、その人自身の精神的な不安定さからくる鬱状態が原因である。

 つまり、事故物件だから何かが起きたのではないということだ。

 ただ、元々その部屋が“そう”だから、入居者が死んでしまった場合もある。いわば、「死にやすい部屋」というのが実際に存在するのだ。

1K6帖ロフト付き、家賃3万6000円の物件

 僕が今から4年前に住んだ3軒目の事故物件は、大阪にあった。玄関のドアノブで30代の女性が自殺を図った部屋だ。1K6帖ロフト付きの部屋で、家賃が3万6000円。

 ちなみにこの部屋へ内見に行った日、心斎橋の商業ビルの屋上から飛び降り自殺を図った女学生が、商店街のアーケードの上に落下した。僕は案内してくれた不動産屋と一緒に、その直後の現場をたまたま通りかかったのを覚えている。まあこれはただの偶然だが。

この玄関で前入居者が首吊り自殺した