ハルヒの最新刊「涼宮ハルヒの直観」が9年半ぶりに発売される――。
そのニュースは一瞬で日本中に広がり、SNSのトレンドを埋め尽くした。「まさか生きている間にハルヒの続きが読めるとは」という一見大げさな反応も1つや2つではなかった。
「涼宮ハルヒ」は、破天荒な美少女・涼宮ハルヒが高校の仲間たちを集めて作った「SOS団」が日常と非日常を往復する超人気シリーズ。11巻時点で全世界シリーズ累計2000万部を突破し、前作「驚愕」の51万3000部というライトノベル史上最多の初版部数は現在も破られていない。ライトノベルの世界を飛び出しSFの金字塔でもあり、大ブレイクのきっかけとなった2006年のアニメ放送は今も語り草だ。
そんな「涼宮ハルヒ」シリーズだが、前作「驚愕」の発売からはすでに9年半が経過していた。ファンのどれほどが新刊の発売を信じていただろう。それだけに、10度目の夏休みが終わろうとしていた8月31日の新刊発表は衝撃的だったのだ。
そこで角川スニーカー文庫編集部に取材を申し込むと、書面でのインタビューが実現。その回答は、「ハルヒの新刊が出る!」というファンとまったく同じ高揚感に満ち満ちていた。
完成は2020年の夏
――新刊発売おめでとうございます……というより、ありがとうございます。「涼宮ハルヒの直観」、どんな執筆過程を経てこのタイミングでの完成となったのでしょうか。
「新刊は3編構成で、2013年刊行の画集『ハルヒ百花』に収録された短編『あてずっぽナンバーズ』、2018年にスニーカー文庫30周年を記念して発売したムック『ザ・スニーカーLEGEND』に収録された中編『七不思議オーバータイム』、そして、完全書き下ろし長編で『鶴屋さんの挑戦』が収録されています。
2018年の中編完成後に『鶴屋さんの挑戦』の構想を練りながら少しずつ書き溜めて、2020年初夏に脱稿されました。