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2020/10/16

トップ通過を狙う中大と順大

 まずはトップ通過を狙える戦力が整うのが中大と順大。ハーフマラソンの距離で競う予選会において参考になる1万mの上位10人の平均タイムではいずれも28分台を誇る。層の厚さはもちろんだが、加えてこの2校には今年のルーキー世代を引っ張るランナーがいる。

 その筆頭である中大の吉居大和は7月に北海道で行われた記録会で5000mのU20日本新記録を打ち立てた。その後も9月の日本インカレでも1年生で優勝を飾るなど5000m中心に好走を続けており、スピードは十分。

吉居は7月のホクレン・ディスタンスチャレンジでU20日本新記録 ©時事通信社

「ハーフマラソンの距離で競う予選会に向けては距離対応が課題になってくるとは思いますが、正直スピードがあそこまであればハーフの距離なら余裕で持つと思います。予選会に向けて特別な練習はしなくても対応できてしまうのでは」(同前)

 順大の三浦龍司も同じ7月の記録会の3000m障害で日本歴代2位の記録をマーク。タイムはもちろんのこと、外国人選手に競り勝った勝負強さも光った。リラックスした力感のない走りで日本インカレでもぶっちぎりの圧勝にも関わらず、かなり余裕のある走りを見せていた。

 高校時代はロードレースに苦手意識を持っていたというが、関係者が「本人が勝手に苦手意識を持っているだけ。走れないわけがない」と言うようにポテンシャルは抜群。三浦自身も「もうロードが苦手とか言っている場合じゃない」と腹は括っているようだ。

三浦は3000m障害で東京五輪を狙う ©時事通信社

 また、順大にはもう一人、石井一希という有力ルーキーもいる。高校時代には全国高校駅伝の舞台で前述の吉居と同じ区間を走り、区間記録では上回っている。クロカンでも実績を持ちロード適性は高く、こちらも駅伝デビューが楽しみな逸材だ。

 吉居と三浦はいずれもその実力ゆえに来年の東京五輪も視野に入ってきているため、12月初旬に行われる日本選手権でのトラック種目に照準を合わせており、予選会に向けて特別な練習をしてくる可能性はかなり低い。ただ、その状態でどこまでの走りを見せるのかが非常に楽しみなところだ。

昨年の予選会はまさかの苦戦となった中大・藤原正和監督 ©文藝春秋

通過有力の神大・中央学大のルーキーたち

 通過が濃厚な中堅校の中にも注目ルーキーは多い。

 予選会突破が有力な神大、中央学大の2校はいずれも監督が上級生を起用することが多く、ミスが少ないチームだ。中央学大の川崎勇二監督は常々、「最大の目的はメインの練習を、いかに余裕を持ってできるかということ。いくらいい練習をしても、選手がつぶれたらおしまいだから、できる練習を確実に積み重ねる」という話をしている。

 そしてその方針は、川崎監督がかつて「参考にした」という神大の大後栄治監督も同様。1万mの上位10人の平均タイムも両校とも29分台前半。今年も泥臭く鍛え上げられた上級生中心に堅実な走りを見せてくれるはずだ。

 それだけに、両校でエントリーメンバーにルーキーが名を連ねるのは珍しい。裏を返せばそれだけ実力のある選手たちということだろう。

 神大は佐々木亮輔、宇津野篤の2人が高校時代から駅伝の実績は十分。特に宇津野は駅伝の名門、長野の佐久長聖高校出身で、高3時の県大会では8㎞区間で歴代の有力選手たちが破れなかった区間記録を一気に40秒以上も縮める激走を見せている。ハマればロードにかなりの強さを誇り、1年目から主力級の活躍も期待できる。

 また、中央学大も1年生で唯一、伊藤秀虎がエントリーメンバー入り。もともと駅伝強豪校ではない三重の四日市工業高校出身にもかかわらず高校時代に全国大会の場数は多く、大崩れはなさそうだ。