「例年なら『駅伝はトラックとは別物だから、1年生は戦力としてあまり期待しすぎないほうがいい』という話が出るんです。でも、今年はちょっと雰囲気が違いますね」

 そんな風に今季の驚きを語るのは、スポーツ紙の駅伝担当記者だ。

 春先から続くコロナ禍の中で、今年はここまでスポーツ界も大きな影響を受けてきた。それは学生長距離界においても同様で、春から夏にかけて大会の中止はもちろん、記録会や各校の練習にも大きな支障が出続けていた。

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 本来ならば駅伝シーズンの開幕戦となるはずの10月の出雲駅伝も中止が決定され、駅伝ファンには寂しい日々が続いていたところだった。

 そんな中、ようやく9月に関東学連が箱根駅伝の実施を決定。それに伴い、10月17日(土)に立川で行われる箱根駅伝予選会も開催が確定した。今季は前述のとおり、レース数が限られているため各チームの実力を測る判断材料が乏しく、本大会参加の権利を得る10校を争う戦いは混沌としている。

昨年の箱根予選会スタート前 ©文藝春秋

 そして期せずしてこのレースが2020年の駅伝シーズンの“開幕戦”となることになったのである。

予選会の注目ポイントのひとつは「ルーキー」

 そんな異例続きのシーズンインだが、今年の予選会での最大の注目ポイントが冒頭で記者も語ったスーパールーキーたちの存在である。

「今年のルーキーたちは各校とも過去のエース級と比べてもモノが違う選手が多い。よく強力な選手がそろった世代を“黄金世代”という言い方をしますけど、そんなもんじゃないですね。本当にバケモノ揃いの“怪物世代”なんです。

 さらに今年はコロナの影響で各校とも練習環境が選手各自の裁量に任さざるをえない部分が多かった。それが意識の高い1年生たちにとっては『自分に合ったトレーニングがしやすい』という“ケガの功名”に繋がり、好記録が連発しているんです」(同前)

©文藝春秋

 では、そんなルーキーたちを軸に予選会出場校の注目ポイントを見ていこう。