読み切りの人気を受けて「ダイの大冒険」が始まるわけですが、まず“勇者”の家庭教師・アバンと、弟子のポップがダイの元を訪れます。アバンの指導でダイは力をつけていきますが、アバンに倒されたはずの魔王ハドラーが島を攻撃。ダイは“火事場”の馬鹿力のようなパワーを発揮して、ハドラーにダメージを与えて追い返します。ダイとポップは冒険に旅立ちますが、ハドラーからの刺客「六団長」が2人を襲います。
「六大団長」は、正々堂々を好む武人のクロコダイン、アバンを憎む人間の戦士・ヒュンケル、手段を選ばない野心家・フレイザード、ダイと因縁がある最強の騎士・バラン、謀略を好むザボエラ、大きな秘密を握るミストバーンと、くせ者ぞろいです。ピンチに次ぐピンチなのですが、アバンの弟子で勝気な女の子・マァムを仲間に加えて一行の冒険は進み、ハドラーと再戦。さらに大魔王バーンの秘密に迫る……というストーリーです。
コミックスは全37巻(文庫22巻)ですから、大ヒット作「鬼滅の刃」の倍近い長さになりますが、負けず劣らず内容が濃いことは保証します。
注目の新作アニメの第1話は、マンガの読み切りから始まりました。原作マンガを土台にしながら、「レオナの洗礼」などの場面が追加されたり、第2話の最後にアバンとポップを登場させて引きのシーンを作っています。大筋では旧作アニメと同じようですが、テンポも速く、新作でも丁寧に制作しているのが伝わってきます。
キーキャラクターは「編集部からも嫌われた」クズ相棒キャラ
主人公のダイは「勇者」ですから、強敵を次々と倒していきますが、勇者だけに「憧れの存在」といったところでしょうか。そしてダイの相棒であるポップこそ、読者の共感を呼ぶ存在であり、同作の魅力の象徴とも言えます。
ポップは最初、口ばかりで仲間を見捨てて逃げる、とんでもないやつです。ところが話が進むと急激に成長します。強敵・バランの手で記憶を消されたダイを助けるため、捨て石になる覚悟で、バランの右腕である「竜騎衆」に単騎で戦いを挑むシーンは、同作の見せ場の一つではないでしょうか。これまでのポップの行動は、控えめにいって「クズ」でしたので、あまりの変わりように、当時は感動したものです。
最終的には、アバンの仲間だった世界最強の魔法の使い手で、師匠でもあるマトリフからも「大したやつ」と“お墨付き”をもらうほどになります。また決戦では、パーティーの頭脳として活躍。敵からも「勇者一行でダイ以外に恐ろしいのはポップと(ダイの味方になった)ヒュンケルだけ」「成長度だけでいえばダイ以上」「ムードメーカー」と一目置かれてます。ここまで来ると「ポップよ、よくぞここまで成長したな」と、親のような気分にすらなります。
ちなみにポップは連載当初、編集部からも嫌われており、三条さんが懸命にフォローしたエピソードが知られています。 言い換えれば、それだけイラっとさせるほどの存在感だったことが分かる話ですね。