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【橘玲 特別寄稿】臆病者のための「コロナ時代の資産防衛術」

2020/10/29

 新型コロナで社会に不安が広がっている。給料やボーナスが減らされたり、仕事そのものがなくなってしまったひともたくさんいる。

 そんなとき、「資産運用ですこしでもお金を増やせたら」と考えるのは当然だが、ここには罠がある。それは、「ウマい話はあなたのところにはぜったいに来ない」だ。

 家を建てるときは、建築家や大工などのプロに作業を任せるだろう。あらゆる点において、プロは素人よりうまく仕事をこなし、よりよい結果をもたらしてくれる。

「超低金利」というのは、プロですら、金利のほとんどつかない債券に投資するしかないくらい運用環境がきびしいということだ。そんななかで、「素人」が思いつきで投資をして、プロを上回る大きな利益を得られるようなことはほとんどない。

 ここでなぜ「ほとんど」を強調するかというと、ギャンブルでは素人が大勝ちすることが一定の確率で起きるからだ。宝くじは購入代金の半分が自治体などに「搾取」されるもっとも割の悪いギャンブルだが(そのため「愚か者に課せられた税金」と呼ばれる)、それでも一等・前後賞合わせて七億円を当てるひとが必ずいる。この幸運な当せん者から見れば、宝くじを買うのはとてつもなく有利な「投資」だ。

経済学的に不合理でも一攫千金を夢みる善男善女

宝くじを買い求める人々 ©iStock.com

 とはいえ、宝くじで億万長者になるのは交通事故で死ぬ確率よりずっと低く、当せん者の背後には購入代金をまるごと失った膨大な数の「敗者」がいる。だがひとは不都合な事実から目を背け、都合のいい出来事のみにスポットライトを当てるので、死屍累々の敗者の群れは目に入らない。これが心理学でいう「サバイバル・バイアス(生き残ったひとだけに注目する認知の偏り)」で、どれほど経済学的に不合理でも、宝くじ売り場の前に一攫千金を夢みる善男善女の行列ができることになる。

 最初からはしごを外すようで申し訳ないが、これが資産運用の基本中の基本だと強調したうえで、代表的な投資対象を評価してみたい。