『ポツンと一軒家』をはじめて見た時は衝撃を受けた。すごい番組だと思った。人も通わぬ山奥になぜか人家があり、そいつを見つけるのが衛星写真で、衛星写真というのは航空写真とは明らかにちがって、どんな集落でも都市でも「生命が感じられない」。そんな「死の世界」のような写真にずいーっと寄っていく、という始まり方がまず秀逸で、何か不穏なものを暴きたててしまう予感がある。そして一軒家にはじいさんが一人暮らしをしている。そんなところに一人で住んでいる「理由」が、いちおう語られ、別に矛盾があるわけではないが、何かがしっくりこない。妻子は別に住んでたりして、それにも「通りいっぺんの理由」が語られ、日に焼けて不鮮明な家族写真が一枚ぺらっと映される。その後は家族の話題は出てこない。

※写真はイメージ ©iStock.com

 怖い。「家庭内に何かあった末のこの状況なのではないか」と、つい考えてしまう。悲惨な妄想を喚起させられる。それでなくても山の中の一軒家と、そのふもとの集落の有様が、「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」の周南連続放火殺人事件を想起させるではないか。そういう「一軒家」がぽつぽつと出現し、「これは新しいオカルト番組だ」と思った。所ジョージも林先生もなんであんなふうに笑ってられるんだ!

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 ……と、勝手な思い入れで見ていたが、すぐにそんな番組ではなくなってしまいました。今のところ主におじさんやおじいさんが、「山の中で趣味に没頭するために手造りでこもってます家族は呆れてますハハハ」あるいは「昔っからここにおるしボチボチここで暮らしてますわフォフォフォ」の老夫婦ほのぼの生活を紹介して「山の中の片隅でもあったかい生活がありますね~」みたいな、いいお話供給番組になっちゃった。