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ハッキリした1990年代後半の姿

 その裏取引の真相は別にして、ここまでの取材でハッキリしたことがある。

 それは、売春島には、ヤクザが何らかのカタチで関与していたことだ。女を調達するXのようなブローカー、それを取りまとめる中継役のA組姐さん、実務担当の置屋やホテル。これが一つの線で繋がり、売春で荒稼ぎしていた――。

 少なくともXや、元闇金たちが関わっていた1990年代後半は。

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売春婦たちが暮らしたアパート(著者提供)

 だが、まだまだ島の全貌にはほど遠い。いつから売春が始まったのか。どうして暴力団組織が関わるようになったのか。はたまた置屋やホテル経営者の素性とは……さらに、当局との裏取引があるような関係だったのか。だからこの島は“治外法権”だと言われているのか。

 それを紐解くためには、まだまだ関係者にあたる必要がある。もちろんA組の姐さんにも接触してみたい。

#6へ続く)


​ 10月24日(土)21時から放送の「文春オンラインTV」では、『売春島』著者の高木瑞穂氏が本書について詳しく解説する。

売春島~「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ~

高木 瑞穂

彩図社

2019年12月17日 発売

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