「地元の同級生だったクミは、昔から俺に惚れていた。俺には嫁がいたんだけど、それでも惚れていたクミを随分利用させてもらった。俺が『100万用意してくれ』と言えば、サラ金で借りてでも必ず用意する女だった。高級車も貢がせたし、現金も3000万ほど引っ張った。
多重債務に陥ったクミには、もう借りるアテはなかった。それで冗談半分で『実家がある』と言ったら、親を説得し、家を担保に1500万作ってきた。それをも使い切った俺は、『悪いけど、頼む』と1995年頃に売春島に送り込んだ。最初は泣いていたが、そのまま実家に荷物を取りに行き、その足で渡鹿野島に向かった」
オンナの身包みを剥いだ。Xは続けた。
「頭には、カネと愛する嫁のことしかなかった。自分と、自分の嫁に良い生活をさせるためには他の女を泣かせても……だから、お前ら身を削れ。それが無理なら、いらん。クミしかり、他の女とも一切、仕事と割り切り肉体関係は持たなかった。ほら、情が湧くのが嫌だったから。ちなみにそのクミも、数年前、病気で亡くなった」
そうやるせなさを吐露したXは、「ハッキリ言うけど、男の口車に乗せられて売春島に流された女は俺の知る限りみんな、どこかヌケてるよ」と自嘲気味にこぼした。
欲を掻いて「19の女」を島からソープへ
「いまでも後悔している。祭りでナンパした別の19才の女だった。とりあえず1回、バンスの200万円をもらった。欲を掻き、さらにもう1回バンスをもらうため、クミに『悪いけど19才を連れて島を出てくれ。女を逃がすから』と電話した。しばらく身を隠させ、また違うコとして島に送り込みバンスをもらう算段だった。
クミは当初、『私の責任になるから』と断っていた。女が逃げたら結果、チーママの管理不行き届きになるし、ひいてはその支払ったバンス分を背負わなきゃいけないしきたりだから。それでも『もう200万、必要だから』と諭し、上手いこと賢島の商店街まで連れ出し、そこで俺の若い衆に車に拾わせ逃げてきた」
「それで、女をソープで働かせていた潜伏期間中にその19才が警察に駆け込み、Xさんは逮捕されたんですね」
Xは少し早口になった。過去の記憶が鮮明になったかのごとく。