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連載池上さんに聞いてみた。

池上彰氏が解説する「酒税改正でビールが値下がりした理由」

池上彰氏が解説する「酒税改正でビールが値下がりした理由」

池上さんに聞いてみた。

2020/10/27
note

Q ビール、どうして値下げ?

 10月から酒税が変わり、「ビール」、「発泡酒」、「第3のビール」の酒税が同じになっていくとききました。酒飲みの私としては、実質的に「ビール」が値下がりすると考えれば嬉しいのですが、企業の立場になると、規制に対応して一生懸命開発してきたジャンルが“ちゃぶ台返し”にあうのは納得がいきません。どうしてこのような改正になったのでしょうか。(50代・男性・自営業)

ビールの「実質的値下げ」になった今回の酒税法改正 ©iStock.com


A「第3のビール」の酒税を引き上げたからです。

 ビール会社にすれば納得できないでしょうね。ビールの値段が高いので、ビールにかかっている税金より低い税率になるように苦労してビール味を実現するべく開発したのが、発泡酒であり、第3のビールだったからです。

 でも、これらがすっかり人気となり、多くの人が酒税の安い方を飲むと、酒税の税収が減ってしまいます。だから酒税を引き上げたのですね。

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 国税庁の苦しい立場はわかりますが、せっかくビール会社が創意工夫して技術開発したものが水泡に消えてしまっては、努力の甲斐がありません。ビール会社の人たちの苦労に報いる方法はなかったものかと思ってしまいます。まあ、私は酒を飲まないので、飲む人がせっせと税金を払ってくださることには賛成なのですが。

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