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「さんまちゃんが走って逃げてった」山田邦子60歳が語る“『ひょうきん族』実父殴り込み事件”

「さんまちゃんが走って逃げてった」山田邦子60歳が語る“『ひょうきん族』実父殴り込み事件”

山田邦子さんインタビュー#2

2020/10/31
note

『ひょうきん族』の楽屋に、父が怒鳴り込んできたときのこと

ーー演芸場も経験したことないくせに、みたいな陰口もあったんですか?

山田 あったと思います。ただ性格的にほんとにおっちょこちょいなのと、鈍感なので。たぶんいじめられてたんだと思いますけど、当時は気づいていませんでした。噺家の方は頭のいい方が多いので、わりとチクチク言ってたんだと思うけど(笑)。

ーー女性であるがゆえに傷ついたことはありましたか?

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山田 それは……ありましたよ。ありました、ありました。やっぱり何やってもブス、まずブス。デビューして自分の娘がブスって言われること、親が嫌がってね。山田家の中ではかわいいかわいいで育てられたので。父親はもう亡くなりましたけど、一度なんか『ひょうきん族』の楽屋に怒鳴り込んできたことがあって。(明石家)さんまちゃんが走って逃げていきましたね。

 

ーーなんと!

山田 まだ河田町だった頃のフジテレビ、地下の廊下をね。父親がさんまちゃんを走って追いかけて。「『無人島に行っても邦ちゃんとだけは結婚せぇへん』って言ったのはお前か!!」って叫びながら(笑)。「お父さんやめて!」って私言いましたけど。

ーーすごい。

山田 どこの家だって娘はかわいいですもんね、お父さんは特に。私のことをお姫様のように思ってた。その時ちょうど運の悪いことにヤスキヨさんが歩いてたんですよ。キヨシさんは「どうも。お父さんでっか」って、あの調子で言ってくれたんだけど、父は「あぁキヨシか」って、知りもしないのに。素人って怖い(笑)。

 あろうことかヤスシさんには「おめぇ小せぇな」って(笑)。そしたらメガネクックいわせながら「誰やこれ、誰や!」って言ってましたよ(笑)。「すいません」って謝りましたけど。

「ブス」なんて言われたことなかったから、びっくり

ーー昔ちょっとドラマで意地悪な役を演じたりすると、プライベートで知らない人に説教されるって聞いたことありますが、お父様はたとえそれが「いじり」だとしても、娘がブス呼ばわりされることが我慢ならなかったんでしょうね……。

山田 私も「ブス」なんて言われたことなかったから、びっくりしました。学校の中でも人気があったし、兄の学校は男子校だったんですけど、そこに私のファンクラブがあるくらいだったんですよ。それもまぁ考えてみたら別にかわいいからではなく、面白いからだったんですけどね(笑)。

 

 でもね、そこに気づいてからは楽になりました。楽になったというか、独占企業だとおもいました。そこまでは自分はかわいいと思ってたから、一生懸命目を二重にするのりを貼ってみたりとか、おしゃれしたりとかやってましたけど。ああ違うんだ、だったら顔に何か書いてもいいんだなって。

写真=鈴木七絵/文藝春秋

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西澤 千央

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「さんまちゃんが走って逃げてった」山田邦子60歳が語る“『ひょうきん族』実父殴り込み事件”

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