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「さんまちゃんが走って逃げてった」山田邦子60歳が語る“『ひょうきん族』実父殴り込み事件”

「さんまちゃんが走って逃げてった」山田邦子60歳が語る“『ひょうきん族』実父殴り込み事件”

山田邦子さんインタビュー#2

2020/10/31
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失敗してもいい、だめなのは「つまらない」こと

ーー坊主には「禊」という意味合いもあったりして、昨今では熱愛発覚した女性アイドルが「反省」として坊主にしたこともありました。

山田 確かに当時も「何かやったんですか」みたいになってたけど。いや周りの人でやった人はたくさん知ってるけど、私は何もしてないなぁって(笑)。

 

 まぁ……反省することはありますけどね、やってきたことに。でも後悔はあまりないです。やってから考えるというタイプなので。しまった、もっと考えればよかったなってことはあるんですけど(笑)。でも『ひょうきん族』がまず、鍛えてくれました、私を。

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『ひょうきん族』ってNGも流してくれるんですよ。『8時だよ!全員集合』は、作り込んで作り込んで、それで生まれるハプニングがあったのが面白い番組。『ひょうきん族』の方は最初から壊してくやり方だった。なので台本もあってないようなところで、みんなくらいついてくらいついてやっていくというやり方で。

 でも失敗しても面白かったら使ってくれる。だめなのは「つまらない」ことです。売れないのはつまらないことなんですよ。なのでそこが随分鍛えられたなとは思う。

ーー思っていた通りにいかなくても、面白ければいい。

山田 ネタはね、商売ですから。今もネタ作って、この夏演芸場も出ましたけど。ダダすべりすることまだありますよ(笑)。どっかんウケて「ほらね、現役だ」っていうのもまだある。だけど全部が正解なんです。全部自分だからね。

今年初めて『笑点』に出られて、聖地だったくじら屋へも

ーー今年は『笑点』にも出演されていました。

山田 やっぱりね、私タレントだったんですよ、テレビタレント。テレビでもネタをやったりしてましたけど、テレビの中だけのことなんですね。でも同業者はたけしさんにしても、みんな浅草とかから出てきてるんです。みんな板(演芸場の舞台)を経験してる。私は劇場は出てるけど、いわゆる演芸ホールというのには出てこなかったんです。

 出たかったんですよ。学生の時は、寄席演芸研究会に入って、割と板に近いところにいたんですけど。師匠がいないままデビューしてますから、何のツテもなかった。それで、今年初めて『笑点』にも出させていただいて、すごく嬉しかった。

 去年ぐらいからそういう劇場、ホール、演芸場も出させていただいてて、40年かけてやっと一人前になれたような気がしました。あの、浅草にはたけしさんがひいきにしてる飲み屋さんがあって、歌にも出てくる……。

ーーくじら屋(捕鯨船)さんですか。

山田 そう! 私そこにも今年初めて行きました。そしたら大将が「やっと来たお前」「もっと早く来い」って(笑)。

 

ーーどうして今まで行かなかったんですか?

山田 たけしさんの聖地なので、板に出てなかったら飲みに行っちゃダメだと思ってました。外から覗いたことはあるけど、私はまだダメだな……と思って入らなかった。それはコンプレックスだったんです、ずーっと。