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散見される官僚に対する「強い口調」
更迭するくだりも生々しい。
「質問もされていないのに一課長が勝手に発言するのは許せない。担当課長を代える」
「ダメだ」
そして、
《「いいから、代えるんだ」と押し切りました。》
と自慢げに書いている。
本書ではほかにも官僚に対する「強い口調」の描写は度々出てくる。
・「それなら地方交付税を含めていっさい口出しするな!」つい、語気を荒らげてしまいました。(P78)
・私は強く言いました(P81)
・「何を言っている。当然、全国に波及させるためにやるんだ!」と言うと主計官は絶句していました。(P159)
・こんな理事がいたのでは、改革などできないと感じた私は、道路局長を呼んで、「夜中は走らせないなんて理事は辞めさせろ」と命じました。(略)私がそこまで怒っていると知った理事は、何度も面会を求めてきて、「私の勉強不足でした。ぜひ、そういう方向でやらせてください」と積極的に取り組んでくれました。(P162)
「強い口調」のオンパレードだ。
もともとこの本は『政治家の覚悟 官僚を動かせ』(2012年)というタイトルだったが、これでは官僚を動かせというより脅しているように見える。改革するにしても、反対意見にも耳を傾けて議論していくという発想がこの本からは見えない。自分が一番正しいという結論から始まっているのだ。今回の学術会議の件に見事に通底している。