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新たに収録された「官房長官時代のインタビュー」
新書版では削除された章の代わりに官房長官時代のインタビュー収録が売りだが、そこにも怖いことがシレッと掲載されている。
《内閣法制局長官や事務次官の人事については、強引だとの批判もありましたが、政権の方向性に合う人をきわめて客観的に選ぶという方針ですから明快そのものです。》(P195、2014年のインタビュー)
ギョッとする。
内閣法制局長官でさえ「政権の方向性に合う人」と明快に言っちゃってる。そして「政権の方向性に合う人をきわめて客観的に選ぶ」って支離滅裂でもある。いろんな意味でヤバいのだ。こういうのを残したのはやはり文春の意地悪か。
「重みと思うか、快感と思えるか」
菅義偉氏の権力の行使に対するこのヤバさは何なのか。実はその正体を書いた記事があった。
菅官房長官の番記者として取材してきた毎日新聞政治部の秋山信一記者は10月2日の「記者の目」で以下のように書いている。
菅氏は記者に「権力」について、
《「重みと思うか、快感と思えるか」とボソッと語った。重圧に潰されないようにするためには、思うように政策を進める快感を力に変えられるかどうかだということだ。》
権力を行使するのは重みではなく「快感」。
ギョッとする。
権力者はその力を抑制的に使うはずだが、快感らしいのだ。
菅氏は「たたき上げ」を売りにしているがこの振る舞いはただの「田舎っぺ」である。
もとの単行本が発売されたのは8年前だが、現在この権力快感おじさんは総理大臣となった。
新書となった『政治家の覚悟』はむしろ「国民の覚悟」である。