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福島第1の汚染処理水、韓国で「海洋放出は撤回して」「国際裁判で訴える」の声が高まる理由

2020/10/30

 10月内にもと見られていた東京電力福島第1原子力発電所の汚染処理水を巡る決定が見送られたが、韓国では、「決定留保ではなく海洋放出は撤回すべし」という声が高まっている。

韓国・ソウルで行われた海洋放出撤回を求めるデモ ©️AFLO

 もともと、福島の原発処理水について韓国での関心は高かった。そのトーンがにわかに上がったのは、菅義偉首相が9月26日、福島を訪問した際、「汚染処理水についてできるだけ早い時期に決定する」と発言してからだ。

韓国与野党が一致「福島原発処理水の海洋放出反対」

 10月15日、日本政府が放射性

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物質の濃度を下げた後海洋放出する方針を固めたと報じられると、22日には、李洛淵「共に民主党」代表が冨田浩司駐韓日本大使と会い、処理水関連の情報を公開することを求め、23日には、釜山市や国会内の委員会で日本政府へ処理水の海洋放出計画をとりやめるように求める決議案が次々と議決された。 

 与野党は福島原発処理水の海洋放出反対については一致しており、なかでもひときわ強く声をあげているのは済州島の元喜龍知事(野党「国民の力」所属)だ。

 元知事は、「福島の汚染水は200日後には済州島の海を含めた韓国の領海へ達する」として、「もし、日本政府が汚染水の海洋放出を行うならば日本政府相手の民・刑事訴訟、さらには国際裁判所への訴訟も辞さない」(ソウル新聞10月23日)と表明。

 革新系野党「正義党」議員らも26日、駐韓日本大使館を訪れ、「日本政府は福島放射能汚染水海洋放出計画を全面白紙化すべし」という内容の抗議書を提出し、「特に隣接国家と積極的に協議をして決定すべきだ」と相馬弘尚駐韓総括公使に伝えたと報じられた。

10月26日、韓国の議員が抗議の手紙を日本政府に提出 ©️時事通信社

 韓国政府は、「この問題は日本の主権事案」という立場をとっている。10月初めから始まっている国会の国政監査では「日本の主権的決定事項」と強調した康京和外交相が与野党議員からやり玉に挙げられていた。

 中道系韓国紙記者は言う。

「今回の国政監査は実りなしと揶揄されていますが、唯一、福島原発汚染水については、与野党が海洋放出反対でひとつにまとまっています。原発汚染水の海洋放出については、安全であり、他国でもやっているともいわれますが、そもそも日本国内でも安心できないという反対の声が多いですから、隣国の韓国が安心できるはずがありません。