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山中のドラッグパーティーで大惨事…「幻覚を見ているのか?」救助隊員が遭遇した若者の奇行

『すぐそこにある遭難事故 奥多摩山岳救助隊員からの警鐘』より #2

2020/11/05

genre : エンタメ, 読書

note

 警視庁と消防庁のヘリを要請するとともに邪魔な立ち木を少し切り、吊り上げポイントの整備をした。最初に飛来した消防庁のヘリに信号弾を打ち上げて場所を知らせ、ホイストで降下してきた救急救命士がK君に応急処置を施した後、N君の死亡確認が行なわれた。K君は担架に収容され、午後3時50分にピックアップされ、青梅市立総合病院に搬送された。N君の遺体はバスケット担架に乗せられ、続いて進入してきた警視庁航空隊のヘリに搬送されて、4日間にわたったすべての捜索、救助活動は終了した。

 まったく意識のないまま滝の多い沢の中や道のない山中を何日もさまよっていたのだから、転落などで全員が死亡していても不思議でない事案である。残念ながら死亡者を1人出してしまったが、4人救助できたことは幸運としか言いようがない。

©iStock.com

 後日、薬物などを担当する青梅警察の保安係から山岳救助隊に連絡があり、あの植物の実は脱法ハーブなどと同様、いまの法律では取り締まることができないとのことであった。こんな即効性のある、それも長時間にわたり効き続ける危険極まりない植物の実が身近に手に入り、それが法律に触れない脱法ドラッグ*4であるとは。法の整備が急がれるところである。

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*4 脱法ドラッグ
脱法ドラッグ法律によって一部の薬物が規制されていることから、法律による規制がないであろう代替の薬物を表すため用いられている用語である。2014年6月24日に東京池袋で脱法ドラッグを吸った男の車が暴走して歩行者を次々にはね、1人が死亡し6人が重傷を負う事件が発生した。その後、法改正され、脱法ドラッグは危険ドラッグと名を変えて取り締まれるようになった。

 それにしてもまったくいい大人が、バカなことはしないことだ。

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