俳優の伊勢谷友介が大麻取締法違反で逮捕されるなど、芸能人の薬物事件が後を絶たない。

 罪が確定し、釈放されると集まったマスコミに対して謝罪する姿が恒例となっているが、その後の話題は「謹慎」、そして「復帰時期」についてである。

 そこでよく聞かれるのが「薬物事件を起こしても、すぐに復帰できる芸能界は甘い」という意見だ。確かに、過去に薬物事件を起こした芸能人の多くは、紆余曲折を経て復帰を果たし、芸能活動を続けている。

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 とはいえ、芸能界は一般社会とくらべて薬物で逮捕された者に対して「甘い」のか。

 一般社会でも薬物で逮捕され、罪を償い、社会復帰を果たしている人はたくさんいる。実際に話を伺い「社会復帰」の現実について語ってもらった。(取材・文=素鞠清志郎/清談社)

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年商数千万円の経営者は、どうやって大麻をやめたか

 尾形悟さん(35歳、仮名)は、現在は内装関係の会社を経営しており、年商数千万を稼いでいる。

尾形悟さん

「会社はいま4年目になります。コロナでも建築関係は止まらなかったので、忙しくさせてもらってます」

 職人でありながら実業家の雰囲気をまとった尾形さんは、誰が見ても感じの良い、社長さんだ。しかし高校を卒業したころ、大麻取締法違反で逮捕されている。

「レゲエが好きだったので、そういうアーティストが集まるコミュニティにいると簡単に手に入ったんです。捕まる人もいましたけど、自分は大丈夫だろうって思ってました」

 この時は未成年ということもあり、逮捕歴はつかずに釈放された。そして20代前半で金融業の営業の仕事に就いていたときに、今度は大麻所持で検挙された。

「職質されて、所持が見つかってという感じですね。その金融の仕事の社長は昔はヤンチャしてた人だったみたいで『仕事に穴あけんじゃねーよ』くらいでクビにはなりませんでした。この時は執行猶予がついたので、特に生活に影響はありませんでした」

 

 その油断から特に反省することもなく、大麻を使い続けていたという。そして、さらに大きな犯罪に足を踏み入れてしまう。

「20代後半くらいの時に、仲のいい友達が大麻の栽培の知識があるって言い出して。その頃ちょっと貯金があったので、資金を出すからやってみなよ、ってことになったんです。友達の名義でマンションを借りて、その部屋で大麻栽培に成功しました。自分たちでバカバカ吸うから売るほどの量にはならなかったですけど、とにかく安く大量に大麻が手に入る環境になったんです」

 仕事を続けながら、自家製の大麻を使用しつづけていたが、そんな状況が長くは続かないという予感が常にあったという。