社会から離してどこかに閉じ込めて孤独にするほうが危ない
薬物依存からの脱却を目指して活動していたときに一般の男性と知り合い、結婚。すぐに子供も生まれた。しかし、薬物とは関係ない部分で夫婦関係が破綻してしまい、石山さんはシングルマザーとして子供を育てていかなければならなくなった。
「一人では育てられないので、子供を連れて地元に戻ることになったんですけど、このときがいちばん辛かったですね。昔の友達はほとんど離れてしまったし、近所の目も厳しかった。それでも子供を育てなくちゃいけないし、そのために働かなくちゃいけない。孤独でしたけど、子供のためと思って前に進むことができました」
通える範囲で自分を知ってる人がいない職場を探し、ようやく清掃の仕事をみつけた。
「アルバイトということもあって、経歴を調べられることもなく働くことができました。でも自分の中では『前科者』という後ろめたさが常にあります。なので、職場の人とはプライベートなことはなるべく話さないようにしてますし、友達も作らない。
自分もそうですけど、なによりも子供を守るために、他人に話していいことを考えますね。SNSに子供の成長の記録とかをあげたくなりますけど、それもやらないほうがいいかな、と思ってます」
石山さんは、昨今の芸能人の薬物事件に対しても、敏感に反応してしまうという。
「そういう報道をみることで自分の過去を思い出してしまうことはありますね。ただ、薬物で1回捕まっただけで業界から追放してしまうのはどうなのかなとは思います。
山口達也さんも、大変な事件を起こしてしまったのは事実だけど、少しかわいそうだと感じました。事件を機に周りの人が離れていって、ずっとひとりで過ごしているからお酒に逃げてしまったのかなって。
アルコールでもクスリでも、寂しさを埋めるためにハマっちゃうことはあると思うので、社会から離してどこかに閉じ込めて孤独にするほうが危ないと思います。隔離するだけが更生じゃないですし、仲間にいれて『見守る』というのも大事ですよね」