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謝罪し、罪をつぐなった人を社会復帰させることは「甘い」のか
社会復帰への道を歩み始めた山下さんは、運送の仕事につくことができた。
「当時は人手不足だったこともあり、特に経歴を問われることもありませんでした。でも、運送の仕事をやりながら、若い頃にやっていた葬儀屋の仕事が自分に向いてたなって思うようになったんです。それでいろいろ探して、なんとか働ける葬儀関連の仕事に転職しました。
葬儀業界は、どの方もいろいろな事情があってこの仕事をやっているからなのか、それぞれの個人的な事情に踏み込まない傾向があるので、自分としては助かりました」
葬儀の仕事を続けるなかで人生や死生観についてさらに考えを深めるようになり、クスリに頼ることはなくなったという。
「覚せい剤で人生は行き詰まってしまいますが、仕事があればなんとか軌道修正することができると思います。私はたまたま偏見が少なくて、自分みたいな人間でも働ける業界に縁があったから社会復帰できました。甘いといわれるかもしれませんが、社会の一員と認めてもらえなかったら、私はあのまま死んでいたでしょうね……」
薬物で逮捕されることで、仕事を失い、周囲の人間に多大な迷惑をかけてしまうことは、芸能人も一般人も変わらない。そこで手を差し伸べたり、仕事を与えてくれる人がいないと、社会復帰がままならないことも同様だ。
謝罪し、罪をつぐなった人を社会復帰させることを「甘い」と簡単に糾弾することが正しいのか、改めて考えてみたい。