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 いずれにせよ、HIV、エイズは不治の病ではなく、絶望して自暴自棄にならずにしっかり管理すれば天寿を全うできる病になっていることだけは覚えていてください。

HIV感染の可能性のある人とセックスしてしまったらどうするのか

  意外かもしれませんが、HIVの感染力は他の性感染症に比べると弱く、1回の性交で感染するとは限りません。しかし、セックスの相手がHIV感染者、もしくはその可能性がある人で、コンドームを使用しないで性交してしまったとしたら、大いに不安になるでしょう。そんなときに、HIV検査で感染の有無が判定できる2カ月後まで待ち、検査で陽性とわかれば治療するなんて悠長なことはとてもできません。

 HIVに感染したかもしれないと思ったら、セックスして72時間以内に抗HIV薬の内服を、28日間1日1回か2回行う「PEP(ペップ=曝露後予防内服)」という予防策があります。WHO(世界保健機関)の調査報告では、HIV感染のリスクを80%以上低減できるとされています。

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 ただし、PEPは、性交の相手がHIV陰性者とわかっている場合や、自身がすでにHIVに感染している場合は対象になりません。また、性交渉後の曝露後予防を目的とした抗HIV薬の内服は日本では未承認なので、診療や薬の処方は自費診療になります。

 HIV感染予防策は、他にもあります。

HIVを未然に防ぐ

 それはセックスをする前から抗HIV薬を飲む「PrEP(プレップ=曝露前予防内服)」という新しい予防法です。近年、欧米を中心に広がりつつありますので、ご存じの方もおられるかと思います。

 HIVへの関心が低い日本では、ほとんど注目されませんが、PrEPの研究は世界中で行われていて、9割程度の予防効果があることが明らかにされています。

©iStock.com

 世界的に最も普及しているのは、2種類の抗HIV薬が入っている合剤の「ツルバダ」という薬を1日1回(1錠)飲むやり方です。ツルバダは核酸系逆転写酵素阻害薬(抗HIV薬)のひとつで、HIVが宿主細胞に感染するために必要な逆転写酵素の働きを阻害し、HIVの体内における感染拡大を抑える薬です。

 WHOもHIV感染のリスクの高い人たちに対してPrEPを推奨し、2015年にガイドラインを策定しています。

 注意したいのは、ツルバダは1錠約3900円と高額で、PrEPのための使用は保険適用外となるため1カ月飲むと11万~12万円もの費用がかかることになります。

 また、この薬を飲むと、腎不全や急性腎不全といった腎機能障害などの副作用が出る場合があり、その管理が必要となります。PrEPを始める際には性感染症専門医に相談して、必ず定期検査を受けるべきです。