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苦しい時も辛い時も…ロッテを引っ張る34歳、清田育宏“笑顔の力”

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/11/04

 笑顔。ルーキーの時、清田育宏外野手は自身のリストバンドにそのように刺繍を入れていた。あれから11年の月日が流れた。今でも清田は笑顔を大事にしている。苦しい時もある。辛い時もある。どんな時でもなんとか歯を食いしばる。苦しい顔を見せるのではなく陽気に振舞うその存在はマリーンズを救っている。試合中、チームの誰よりも大きな声を出し仲間を鼓舞する。点が入れば満面の笑みでガッツポーズを見せる。若い選手が多いチームにあってその存在は頼もしい限りだ。

笑顔の清田育宏 ©千葉ロッテマリーンズ

「ちょっと今、チームが暗いんで、明るい曲で盛り上げてください」

「緊張しない人なんていない。でもなんとか緊張を楽しみながら、プレーをしたいといつも思っている。今、チームは若い子が多いから、少しでもいい影響を与えることが出来ればと思っている」と清田。

 4連敗で迎えた10月31日の事だ。本拠地でのイーグルス戦の試合前練習。暗いムードが漂うチームの中で誰よりも明るく振舞っていた。いろいろな選手に声を掛け冗談を口にした。そして意を決したように球場内放送室に向かった。

「もっと明るい曲をお願いします。ちょっと今、チームが暗いんで、明るい曲で盛り上げてください」

 練習中のBGMを流している放送室スタッフにそうお願いした。清田がリクエストしたのは大ベテランの鳥谷敬内野手が登場曲にも使っているSEVENTEENの「HIT」と「HOME;RUN」。翌日以降は清田の意向をくんだ放送室スタッフが選りすぐりの明るくノリのいい曲を用意するようになった。