冒頭陳述などによると、Gさんは埼玉県内に在住していた高校2年生。家族関係に悩みはあったものの、弁護側が「命を絶つほどの悩みは誰にもわからない」と指摘すると、明確に死にたい理由を周囲の人には話していないという。そんな中、白石被告の「首吊り士」のアカウントは、Gさんと相互フォローをするが、白石被告はどのアカウントでやりとりしたのか忘れている。
女性への警戒を解くための周到なやり取り
「どのアカウントでやりとりしたのか忘れましたが、(相互フォローしていたのであれば)首吊り士でしていたのだと推察します。目的は、会ってお金を引っ張れるか、そうでなければ、レイプして殺害し、現金を奪うことです。(やりとりの内容は)一緒に死にましょうだったか、殺してあげるだったかは、どちらかは覚えていません。自殺のいくつかの方法、いくつかの場所を提案し、最終的には方法として首吊りを、場所は私の部屋になるように誘導しました。首吊りが一番確実だと言ったり、公園など外で実行すると、通報されてしまうと言ったり」
また、検察官に「なぜ首吊り以外のツイートをしないのか?」と聞かれると、白石被告は「私の部屋まで来る理由がなくなってしまいます」と答えた。また、なぜ、この段階で「(白石被告が)首を絞めるとは言わないのか?」と問いただされると、こう答えた。
「首を絞めるということは、肌と肌が触れ合う作業です。男性から女性に触れるような行動をする前提になると、女性側がひいてしまう可能性があるからです。ただし、当時、私は、一緒に死ぬつもりも、ロープで苦しませずに殺すつもりもありませんでした。Gさんにお酒や薬を飲ませ、どちらかが効いている状態になってから首を絞めて、失神させ、性行為をして、現金を奪おうと思っていました。殺害も目的です」
白石被告が、いかに女性が警戒をしない方法で会おうとしていたのかがわかる証言だ。
被害者女子高生が白石被告に会うと決意するまで
Gさんは9月30日に、「昼食を買いに行く」と言って家を出てから、白石被告に会いに行くことになる。
ただ、失踪する直前の9月26日から27日の間に、友人と以下のようなやりとりがあったことが示された。
Gさん 学校に不満がある。今日はずる休み。学校楽しくない。
友人 9月になって1回行ったぞ。
Gさん このままではもうダメ。屋上からダイブするか。
友人 学校からダイブ? 楽器とかできるのか?
Gさん ライブじゃなく、ダイブ。
友人とのやりとりの中では、明確な悩みは示されていない。しかし、学校生活の悩みがあり、この友人は、心療内科や精神科に行くことを助言した。担任や母親の証言によると、9月26日、Gさんは欠席した。登校中に「具合が悪い」と母親に連絡があり、1日休んだ。帰宅後は、漫画を読んだり、スマホをいじっていた。