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「部屋になんとなくついてくる子だと判断しました」

 Gさんはその間、駅前のロッテリアで待っていた。白石被告が自殺に関連する話をしている中で暑く感じたため、一度、帰宅することになる。暑くなったので着替えるためでもあった。そのとき、Gさんは「わかりました、待っています」と言っていたという。その後、死にたい理由を深掘りしながら、白石被告の部屋にGさんを連れていく。そこからGさん殺害までの時間は、9人の被害者の中で最も短かったようだ。

「例えばになってしまうのですが、出会い系サイトを通じて初めて会ったとき、部屋になんとなくついてくる子がいます。一方で、誘っても信用されないので、部屋にこない子がいます。Gさんは、なんとなくついてくる子だと判断しました。

 しかし、口説いてみたり、悩みを深掘りしても、心の距離が縮まらないと思ったんです。つまり、信用、信頼、恋愛、依存のいずれの感情でもないことがわかりました。悩みは話してくれましたが、私に対して、心の底から打ち解けるのではなく、なんとなく、薄っぺらい内容であったから記憶も曖昧です」

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レイプして殺害しようと即断する

 だからこそ、お金を引っ張れるかどうかの見極めが早く、引っ張れないと判断した。そのため、レイプして殺害しようと、次のような行動を取った。

9人の遺体が見つかったアパートの前に立つ警察官 ©時事通信社

「まずは玄関の鍵を閉め、チェーンをかけ、背後からいきなり襲っています。仮に暴れて、逃げようとしても、少しでも逃げる手間をかけさせるためです。その次はメガネを外し、浴室に置いたと推察されます。抵抗をされると、破損することが困るからです」

 Gさんを襲った際の抵抗の有無やその程度は、記憶が曖昧だ。失神するまで首をしめたと言ったものの、検察官の質問に、最初は「被害者9人のうち、一番抵抗していたのを覚えている。抵抗が強く、ひっくり返されそうになった。腕を外そうとしていた腕の力が強かった」と述べた。しかし、弁護人から「捜査段階では、Gさんの抵抗が一番強かったとは証言していない」と聞かれると、こう答えた。

「正直、正確には覚えていない。捜査段階の記憶は不鮮明だが、一部は明確、一部は不明瞭になったのも事実です。ただ、捜査段階といっても、逮捕直後のときと、落ち着いてきてからのときと、証拠を見せられたときとでは違っていますので、整合性のない調書になっています」

白石被告の裁判が行われている東京地裁立川支部 ©️渋井哲也

 加えて、裁判官からの同様の質問にはこう答えた。

「抵抗が強かったという印象があったのですが、現在では、定かではなくなってきました。格闘のような状態になったことに自信がないです。ただ、吊るした後に、足を伸ばしたり、曲げたりしていたというのは覚えています」

 9月30日昼、Gさんはアルバイトがあったため、両親は帰宅しないことを心配しつつも、「アルバイトに行ったのかな?」と思ったという。しかし夜になっても帰宅せず、両親が相談。翌10月1日朝になっても帰宅しないことから、110番通報をした。このときにはすでに殺害されていたことになる。

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